Image: Warner Bros. Pictures/YouTube/(C)2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved
2020年9月18日に公開日を迎えた「TENET テネット」。公開前から難しいと評判になっていました。
上映時間は150分、東京工業大学理学院物理学系助教の山崎詩郎先生が日本語字幕の科学監修をし、パンフレットには先生の解説が載っているほどです。
「TENET」とはどういう映画かというと「謎」を楽しむ映画です。かといってストーリーが難しいかというと、そうではありません。
それでは何がそこまで難解だ、と話題になったのか。3つの謎とともに「TENET」の魅力を紹介します。
ストーリは王道だがノーランマジックにより難解SFになった「TENET」
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ストーリー自体は王道です。世界を滅亡させたい側とそれを阻止したい側との戦いです。
その王道のストーリーが、クリストファー・ノーラン監督オリジナルの映像、科学的な仕掛け、ミステリアスな登場人物という要素によって謎の多い作品になっています。
あらすじ
仲間を救出するためにオペラハウスでのテロへと突入する主人公の名もなき男。しかしそれはテストだったことが判明する。名もなき男は第三次世界大戦をとめるミッションを与えられる。ミッションのキーワードは、TENET。時間の逆行により人やモノが過去へと移動でき。名もなき男の名前がわかるとき、壮大な謎が明らかになります。
1つ目の謎:豪華キャストとミステリアスな登場人物
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「TENET」には豪華キャストが登場します。そしてそのキャストによって演じられるキャラクターも魅力的な人物ばかりです。
※ちなみに劇場では上映のなかった吹き替えも豪華です。
- 主人公の名もなき男(ジョン・デヴィッド・ワシントン)
- ニール(ロバート・パティンソン)
- 裏の顔は武器商人のセイター(ケネス・ブラナー)
- セイターの妻キャット(エリザベス・デビッキ)
- プリヤ(ディンプル・カパディア)
この中でも一番ミステリアスで魅力的なのが、ロバート・パティンソン演じるニールです。
ニール
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ニールは名もなき男の相棒として登場します。ニールはなにかと主人公の名もなき男を助けてくれます。しかし初対面なのにやたらと名もなき男のことを知っていたり、なぜかこのTENETにおける戦いについて詳しかったり。
ニールは一体誰なんだ!?となるところですが、監督のノーランはEWに次のように説明しています。
We think he may be called Neil, You never really quite know what’s going on with these identities.
Time for Tenet: Behind the scenes of Christopher Nolan’s top-secret movieより引用
[直訳]彼はニールと呼ばれているのではないかと考えていますが、このようなアイデンティティには何が起こっているのかよくわかりません。
つまり「ニールが誰かなんて多分誰もわからないだろう(笑)」ということです。
ぜひニールに注目して見てみてください。
2つ目の謎:多くの考察や解説を生んだ科学的な仕掛け
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SF映画の醍醐味の1つに、いままで見たことのない、現実にも存在しないテクノロジーを観ることができるというのがあります。
「TENET」では”時間の逆行”装置が登場します。これはタイムトラベルに似ていますが、まったく違うものです。
時間の逆行とは、映画に登場する回転ドアを通ったモノや人は、その時点で世界の時間の流れとは反転した状態になります。その状態で1時間過ごせば、実際に1時間前の世界に戻ることができます。
しかしその状態で過ごすには、その世界に合わせた酸素マスクが必要だったり、車の運転などはすべて逆の動きでしなければいけないなどのルールもあります。また逆行している銃弾に撃たれると致命傷にもなります。
難しいと評判になっているのはこの時間の逆行のせいで、時系列がわかりにくくなっているからです。ファンの間では多くの考察や解説が生まれています。クリストファー・ノーランが新たに生み出したテクノロジーをぜひ楽しんでください。
3つ目の謎:いままでにない映像と音楽
2つ目の謎に関連しますが、時間の逆行を撮影するために現実の技術、アクションそして音楽もいままでにないものになっています。
逆行の映像
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ノーラン監督は、世界でもまだ6台しかないIMAXカメラを積極的に使用することで知られています。そのIMAXカメラで逆行の映像を撮影するために、今回はIMAX社協力のもとIMAXカメラの改造まで行っています。
またアクションについても、ただの逆再生ではないベテランのスタントマンすら混乱するトレーニングを俳優キャスト含めて行っています。名もなき男を演じたジョン・デヴィッド・ワシントンは、元々プロのアメフト選手ですが、そんな彼でも過酷なトレーニングだったそうです。
逆行の音楽
音楽を担当したルドウィグ・ゴランソンもまた新たな手法で楽曲を制作しています。
普通に演奏した音楽を逆再生し、その逆再生の音で演奏家に演奏してもらうなど、音楽の製作段階から逆行の発想が行われています。毎週金曜日に作った音楽を実際に映像に合わせてみて、ノーランと打ち合わせをする。ゴランソンが「TENET」をみた回数は、その数なんと50回以上にものぼるそうです。
「TENET」には衝撃の映像が連続しますが、これらすべてがグリーンバックによるCGではなく、実際のアクションによって撮影されたものと知ったうえで観ると、より驚きが増すと思います。
謎に込められた意味
「TENET テネット」はいろんな意味が込められていて、あまりにも難しいと言われると、予習が必要に感じるかもしれません。しかしあれこれ考えすぎなければ、気軽に楽しめる作品でもあります。まずは気軽に観てみてください。