出典:IMDb/(C)2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved
「TENET テネット」はクリストファー・ノーラン監督によるSFサスペンス映画です。
監督はこれまで「ダークナイト」「インセプション」「インターステラー」を製作しています。
「007」のようなスパイ映画を作りたかったという監督による本作。
CIA、秘密組織、人類滅亡の危機などスパイアクション要素満載です。
そこに時間の逆行というノーランならではのアイデアが組み込まれることで、今までにないスパイ映画となっています。
キャストはデンゼル・ワシントンを父に持ち、元アメフト選手のジョン・デヴィッド・ワシントンが主役を務め、その相棒ニールをロバート・パティンソンが演じます。ケネス・ブラナー、エリザベス・デビッキがそれぞれ敵ボスのセイター、その妻キャットとして出演。ノーラン作品ではお馴染みのマイケル・ケインも出演しています。
主人公の名もなき男は秘密組織から、ロシアの新興財閥であるセイターが人類滅亡を狙っていることを知らされる。優秀だが謎に包まれているニールが相棒となり、セイターの企みを阻止しようとする、というあらすじです。
SF映画「メッセージ」を観た方には、時間をテーマとするまた違った映画体験になるかもしれません。
キーワードはTENET
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オペラハウスにテロリストが続々と乱入するシーンから始まる構成にすごく臨場感を感じます。
主人公はTENETの世界に巻き込まれ、観ている方としては映画に前のめりにさせられます。
冒頭5分で、クリストファー・ノーラン監督の作品はひと味違うと思わされる映像が続きます。
未知なる映像体験
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冒頭のシーンで銃弾が銃身に戻っていくのを見て主人公も観客もあれはなんだったんだという気持ちでストーリーが進んでいきます。
その後主人公は味方の科学者から説明を受けるもはっきりとは分かりません。
「直感で理解して」とのセリフ通り、観ている方も感覚で映像を理解していく必要があります。
銃弾が逆行するという本作において一番トリッキーな仕掛けが登場しつつも、ストーリーはしっかりと進んでいきます。
そして中盤で時間の逆行がどういうことなのか、「TENET」という映画がどういうものなのか認識させられます。
説明し過ぎず、でも観客を置き去りにはしない、このバランスのうまさに監督らしさを感じます。
結末まで観ても残る謎
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エンディングに向かうシーンでは、ここまでの出来事から直感で何となく理解したことすべてが詰め込まれたような映像が連続します。
すべてが明かされる結末であると同時に多くの疑問を抱かせるエンディングでもあります。
クリストファー・ノーラン監督の映画は、ストーリー自体はシンプルです。
本作は、人類滅亡を目論むセイターの計画を阻止するために主人公たちが奮闘するストーリーです。
しかし結末に至るまでのプロセスにあえて謎を残すところがノーラン作品の特徴です。
時間を逆行できる技術とはどんなものなのか。
ニールと主人公の間にはどんな絆があったのか。
未来人とはどんな人たちなのか。
「TENET」を観たあとはそんなことをしばらく考えてしまいます。
映画を観たあとも映画体験が続くような作品です。