「リトル・ジョー」の感想、何か変わった映画を観たいにジャストフィット

映画「リトル・ジョー」

Image: Youtube/(C)COOP99 FILMPRODUKTION GMBH / LITTLE JOE PRODUCTIONS LTD / ESSENTIAL FILMPRODUKTION GMBH / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / THE BRITISH FILM INSTITUTE 2019

映画が趣味になると観る本数がどうしても多くなります。毎日一作品は観るのも当たり前、なんてときもあります。

そんなに映画を観てると、次はもっと新しいの、いままでと違うもの、と王道の映画じゃ物足りなくなってしまうときがあるのが難点。

ジェシカ・ハウスナー監督による映画「リトル・ジョー」(2019)は、そんな映画好きの、観たことない映画を観たい欲を満たしてくれる一本です。

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「リトル・ジョー」の脚本に関する3つの感想

「リトル・ジョー」の感想は、とにかくストーリーに関することです。キャストの演技、背景で流れる音楽、絵本のような映像など気になる点は他にもあります。

しかしいままで見たことのないストーリー、脚本が一番印象に残ります。

  • あらすじ
  • 全体的なストーリー
  • 観たあとに思うこと

の3つに分けて感想を紹介します。

サイエンススリラーなあらすじ

研究者のアリスと助手のクリスは、博覧会に向けて新種の植物「リトル・ジョー」を開発していた。温かくして、水をやり、愛情を注ぐほど成長し、人を幸せにする香りを放つリトル・ジョー。しかしリトル・ジョーの花粉を吸ったものは、外見も行動も変わらないがどこか様子がおかしくなっていく、というあらすじのサイエンススリラーです。

ウイルスなどではなく、何も害のなさそうな花によるスリラー、というところがより不気味に感じるあらすじです。

斬新だけどとても観やすい作品

満開のリトル・ジョー

Image: Youtube/(C)COOP99 FILMPRODUKTION GMBH / LITTLE JOE PRODUCTIONS LTD / ESSENTIAL FILMPRODUKTION GMBH / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / THE BRITISH FILM INSTITUTE 2019

予告とかポスターをみると、斬新さの強い作品であることがわかります。かといってストーリーとか映像も斬新で分かりづらいかというと、そうではなくてすごく観やすい映画です。

何かは起こっているはずなんだけど、そこに確信がもてない不気味さがずーっと続く作品です。

この「何かが起こっているはずだ」と思わせる映像とともに流れる音がなぜか尺八とか和太鼓とか和楽器なんですけど、これがまたこの作品の不気味さをより強調しています。監督自身、何が起こるかわからない不気味さを演出するために和楽器を使用しているそうです。

それとは反対に研究者が着ている白衣の色は、ミントグリーンで温かみがあったり、アリスの髪は赤毛でマッシュっぽい髪型で少し可愛らしかったり。ハウスナー監督も言っていますが、おとぎ話のような雰囲気もあったりします。

リトル・ジョーを育てる温室

Image: Youtube/(C)COOP99 FILMPRODUKTION GMBH / LITTLE JOE PRODUCTIONS LTD / ESSENTIAL FILMPRODUKTION GMBH / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / THE BRITISH FILM INSTITUTE 2019

綺麗に伏線を回収してくれる脚本

もちろん映像だけじゃなく、脚本もすごく練られています。少しだけストーリーのネタバレをしてしまうと、リトル・ジョーは花粉によって人をウイルスに感染させて、その人を操るかもしれないんですよね。この「かもしれない」がすごく重要です。

花粉を放出するリトル・ジョー

Image: Youtube/(C)COOP99 FILMPRODUKTION GMBH / LITTLE JOE PRODUCTIONS LTD / ESSENTIAL FILMPRODUKTION GMBH / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / THE BRITISH FILM INSTITUTE 2019

登場人物が何かを言ったりやったりしても、それがその人の本心なのかリトル・ジョーに操られているのかわからないんですよね。仮にその人がリトル・ジョーに操られていたとしても、思春期のせいなのか、仕事のためなのか、その人が置かれている状況から考えたらリトル・ジョーのせいじゃなくてもおかしくない脚本の作りになっています。

脚本を表情や仕草で支えるキャストの演技もすごいということになるんですけど。特にアリスを演じたエミリー・ビーチャムは、本作でカンヌ映画祭主演女優賞を受賞するほど評価を受けています。

アリス役エミリー・ビーチャム

Image: Youtube/(C)COOP99 FILMPRODUKTION GMBH / LITTLE JOE PRODUCTIONS LTD / ESSENTIAL FILMPRODUKTION GMBH / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / THE BRITISH FILM INSTITUTE 2019

クリス役のベン・ウィショーの演技は、すごく雰囲気があります。アリスの息子役キット・コナーの演技はすごいです。リトル・ジョーの花粉を吸う前と吸ったあと、同じ感じだけどなにか変わった気がする。この作品が放つスリラー感の8割は、このキット・コナーの演技で生み出されていると言っても過言ではありません。

アリスの息子、ジョー役キット・コナー

Image: Youtube/(C)COOP99 FILMPRODUKTION GMBH / LITTLE JOE PRODUCTIONS LTD / ESSENTIAL FILMPRODUKTION GMBH / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / THE BRITISH FILM INSTITUTE 2019

そうやって最後まで、リトル・ジョーの花粉は危険なのかそうではないのか観ていって、きちんと伏線を回収して終わってくれて。「あ、やっぱりか!」と思わせて終わらせてくれる、斬新でありながらストーリーはきちんと綺麗にまとめてくれている、観てすごく納得できる作品です。

まとめ

ジェシカ・ハウスナー監督による映画「リトル・ジョー」の感想を、とにかくストーリーに絞って紹介しました。

ホラーすぎる映画が苦手な人にもおすすめできる、ちょうどいいサイエンススリラーです。

リトル・ジョー (字幕版)
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