『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』ルーサー死亡の衝撃。なぜ彼は死なねばならなかったのか?その理由と最後の言葉を徹底解説

『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』ルーサー死亡の衝撃。なぜ彼は死なねばならなかったのか?その理由と最後の言葉を徹底解説
※画像はイメージ

シリーズ最新作『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』でのルーサーの死は、最も衝撃的な出来事のひとつだ。シリーズ初回からイーサン・ハントと共に戦い抜いた彼の退場に大きな喪失を感じながらも、最後まで見届けたいま納得もしている。

この記事では、ルーサーがなぜ、そしてどのようにして命を落としたのかを振り返るとともに、彼の死が物語全体、そしてイーサンに与えた意味を考察していく。

※本記事は、映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』の重大なネタバレを含みます。

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ルーサーはどのように死んだのか?最期の瞬間を振り返る

前作『デッドレコニング』でわずかに残されたAI「エンティティ」の手がかりをもって、ルーサーはしばらく身を隠すといってスクリーンから消えていった。本作ではトンネルの一部を利用した隠れ家から登場する。

ガブリエルの罠とイーサンの窮地

ルーサーの死にはやはりガブリエルが関わってくる。イーサンはガブリエルを追った先で、ガブリエルの手下により捕らえられる。なんとか逃げ出すもガブリエルはイルサに続き、再びイーサンの仲間の死をほのめかす。

ルーサーのことだと気が付いたイーサンは、ルーサーのもとへとロンドンの街中を全力疾走するも、ルーサーはすでにプルトニウムが仕込まれた爆弾の処理に取り掛かっていた。爆弾はそのまま爆発すれば街含めあたり一面を消し飛ばすほどの威力を有していた。

「このために生まれてきた」―自己犠牲による爆弾処理

しかし誰かが残り爆発のプルトニウムへの連鎖反応を防げば、街への被害は抑えられ小規模な爆発ですみ、ルーサーはその役目を果たす覚悟をすでに決めていた。

君を置いていけないというイーサンへ、気持ちはわかるとルーサーは、しかし「自分はこの瞬間のために生まれてきた、これが自分の使命だ」とすでに気持ちは決まっていることを伝える。それがルーサーの選択だった。

死の伏線?病に侵されていたルーサー

前作の中盤で身を隠していたルーサーが登場したのは、トンネル内に用意された隠れ家。そこはまるで病室のように整えられており、すでにルーサーの命は長くないことを思わせた。

そんな中でもルーサーはわずかに残されたAIエンティティの手がかりから、デジタル毒薬を開発していた。

すでに自分にできることをやり切っていたルーサーは、命をかけることに何の躊躇もなかったのかもしれない。

なぜルーサーは死ななければならなかったのか?物語上の3つの理由

『ファイナル・レコニング』ではイーサンのこれまでの「選択」による「結果」がテーマとしてあり、どちらかというとキトリッジや敵ガブリエルから負の面で言われてきていた。ルーサーの言葉や死からはイーサンの人生に意味があったことが伝えられている。

理由1:テーマの体現「人生は選択の積み重ね」

最新作ではイーサンとルーサーとの感情的な面でのつながりが、これまでのどの作品よりも強く描かれている。

イーサンへの「たった一度の行動で、人間は判断されるものではない。人生は選択の積み重ね。」という言葉。これまでのイーサンをずっとみてきたルーサーから、過ちにみえる瞬間はあっても正しい道を歩んできたと肯定してくれる言葉だ。

理由2:イーサンの正義と「真の決意」の始まり

ルーサーはイーサンへ次のような言葉もかけていた。

「愛する人のため、未知の人々のため、影に生き、影に死ぬ」。

これまでのチーム、ベンジー、前作から加わったグレース、パリス。メンバーは変わろうともイーサンの正義とこれからの歩みは何も変わらないことを示唆している。

理由3:物語の重みと勝利の代償

最後いつものようにイーサンは勝利するが、そこには勝利の美酒を乾杯するルーサーはもういない。監督のクリストファー・マッカリーはルーサーの死を次のようにとらえている。

「物語は犠牲についてだった」とマッカリーは指摘する。「『デッド・レコニング』における犠牲、それがなければ、映画は歯が立たなかった。何らかの損失がなければ」
(The story was about sacrifice,” points out McQ. “The sacrifice in [Dead Reckoning], the movie had no teeth without it, without some loss.”)

出典:14 Mission: Impossible – The Final Reckoning Spoiler Secrets 2025年7月14日閲覧

「ルーサーの死がなければ歯ごたえのない映画になった」という。確かに前作『デッドレコニング』でのイルサの死、そして本作『ファイナル・レコニング』でのルーサーの死。多くの犠牲と選択でたどりついた今回の勝利。それらすべての要素がなければここまで胸にグッとくるストーリーにはならなかったと思う。

ルーサー・スティッケルの軌跡 ― トム・クルーズとの友情が生んだ名キャラクター

始まりは『パルプ・フィクション』のプレミア

ヴィング・レイムスとトム・クルーズとのミッションは『パルプ・フィクション』(1994)のプレミア上映ではじまった。そこでトムと出会ったレイムスはのちに『ミッション:インポッシブル』の脚本を受け取り、コンピュータの魔術師「ルーサー・スティッケル」として出演が決まる。

「なぜ黒人はいつもすぐ死ぬんだ?」運命を変えた一言

当初ルーサーは早い段階で死ぬはずだった。そこでヴィングはトムと次のような会話を交わしたという。

私は「トム、どうして黒人は最初の10ページでいつも死ぬんだ?」と尋ねました。彼は「そうだね。どうしてだろう?」と答えました。
( I said: Tom, why is it the black man always dies in the first 10 pages? He said, Yeah. Why is that?)

出典:Senior Planet Talks to…Ving Rhames – Senior Planet from AARP 2025年7月14日閲覧

ストレートな疑問をぶつけたレイムスに対し、トムは「どうしてだろう?」と素直な反応をした。それからルーサーはバンのなかからの後方支援だけでなく、イーサンとともに現場でも活躍しはじめ、最新作までイーサンの友であり頼れる相棒として生き続けた。

30年間、イーサン・ハントと同じくシリーズに多大な献身を捧げた、そんなルーサーが死ぬからこそ、キャラクターの死に非常に重い意味がでてくる。

まとめ:シリーズすべてに登場したルーサーの死の意味

シリーズすべてに登場し、イーサンの良き相棒だったルーサーの死はとても大きな衝撃だった。しかし8作品を見届けたいま、ルーサーの死には意味があり、長らく続いた物語テーマに深みをもたせる感動的な犠牲であったことは間違いない。

犠牲もありながら新たな仲間もできたイーサンの物語はまだどこかで続いていく。