Image: Youtube/(C)COOP99 FILMPRODUKTION GMBH / LITTLE JOE PRODUCTIONS LTD / ESSENTIAL FILMPRODUKTION GMBH / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / THE BRITISH FILM INSTITUTE 2019
「007」のボンドといえばダニエル・クレイグと言ってもいまでは過言ではありません。しかし技術担当のQも愛されキャラとして人気があります。そのQを演じているのが、ベン・ウィショーです。
2019年製作の「リトル・ジョー」では、また違った存在感を放っています。確かな実力に裏打ちされた演技力により、その儚い見た目とは裏腹に個性的なキャラクターを作り上げてきました。
ベン・ウィショーのこれまでとこれから
ベン・ウィショーの演技力は、どこから来ているのか。その理由をこれまでの経歴、作品との向き合い方、そしてこれからの未来で深掘りしていきます。
華やかな経歴
Image: Youtube/(C)2006 Constantin Film GmbH
イギリスの俳優ベン・ウィショーは、数々の名俳優を生み出した王立演劇アカデミーRADAを2003年に卒業しています。卒業してまもなく主演した舞台「ハムレット」でイギリスで最も権威あるローレンス・オリヴィエ賞の主演男優賞を受賞し注目されました。
その後2006年の「パフューム ある人殺しの物語」にて、数キロ先の匂いを感じ取れるほどの超人的な嗅覚をもつグルヌイユを見事に演じ、世界に知られる俳優となります。
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またダニエル・クレイグ版「007 スカイフォール」から出演しているQ役としても知られています。それまでのQのイメージを一新しました。
イギリス情報局秘密情報部(MI6)で架空の部署Q課で研究開発を行うQは、それまでベテラン・シニア枠のイメージでした。しかしウィショーのQは、ハッキングを得意とする現代らしいスマートさと、猫と紅茶が好きというギャップにより緊迫したシーンが連続する007のオアシス的存在となっています。
脚本が作品と向き合う武器
そんなウィショーはジェシカ・ハウスナー監督の「リトル・ジョー」(2019)にて、新たな演技をみせています。外見は変わらず、ちょっとした表情や仕草で何かが起きていると感じさせる難しい演技です。
Image: Youtube/(C)COOP99 FILMPRODUKTION GMBH / LITTLE JOE PRODUCTIONS LTD / ESSENTIAL FILMPRODUKTION GMBH / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / THE BRITISH FILM INSTITUTE 2019
「リトル・ジョー」はサイエンススリラーで、遺伝子操作によって人を幸せにする香りを放つ植物、リトル・ジョーの花粉を吸ったものはどこかおかしくなっていくというストーリー。ウィショーは研究者アリスとともにリトル・ジョーを開発する、同僚のクリスを演じています。
撮影は2018年、公開は2020年だったためインタビューに応えるために見返したそうで、改めてクリスは自分でも不気味に感じるキャラクターだったそう。ウィショーは新たなプロジェクトに取り組み始めるときの考えを次のように答えています。
脚本を受け取り、読み、それが出発点となります
YouTube/kermodeandmayo より引用
「リトル・ジョー」の脚本を読んだとき、何が起こっているのか全くわからず一旦脚本を置いたそうです。そしてハウスナー監督の過去作「ルルドの泉で」(2009)をみて、監督を信頼して大丈夫だと確信したそうです。
続編モノも増えてきた
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ウィショーがQを続投している「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」は、2021年10月1日に公開を控えています。ダニエル・クレイグ版ボンドの最後の作品となることが発表されています。
「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」の制作についてウィショーは、すべての脚本は手にできなかったと Film News からのインタビューにコメントしています。
we never did get the full script. I did my bits not in chronological order, so I find it hard [to talk about].
Ben Whishaw found making ‘No Time To Die’ a ‘difficult journey’/Film News より引用
完全な脚本を手に入れることができなかった。時系列ではなく、少しずつやっていたので、(話すのは)難しいですね。
役作りにおいて脚本が最重要のウィショーでさえ、「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」の全体は把握できていない様子。すべての脚本が手元にないうえに、キャリー・ジョージ・フクナガ監督はその場の即興で演出を決めることもあったそう。これは観てみないとどんな作品になっているのかわからないですね。
10代のころから活動し、RADA卒業後は数々の舞台、映画、TV俳優として活躍しています。本人曰く演劇のことしか頭になく、映画やTVでの活動は考えていなかったとのこと。
しかしいまでは「パディントン」シリーズで主役パディントンの声優を務め、「007」でもQとして新しい風を吹き込んでいます。演劇という生の舞台で鍛えられてきたウィショーの演技力があるからこそ、どんな作品でも存在感を発揮する俳優です。
まとめ
ハリウッドの大規模な映画にも出ながら、独立系の映画にも出演するベン・ウィショー。
彼の演技を楽しむなら「リトル・ジョー」のような、他の作品とは一味違う作品の方が楽しめるかもしれません。
リトル・ジョー (字幕版)
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