Image:Warner Bros. Pictures/YouTube
ハンガリー、ヨルダン、アブダビ、ノルウェーで撮影された本作。ロケ地を巡る旅はこの地球上で砂の惑星を巡る旅でもあります。
私にとって映画は芸術だ
ワーナー ブラザース 公式チャンネル/YouTubeより引用
観客を圧倒したいし興奮してほしい
でもそこから何を得るかは観客次第だ
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は、なぜここまでリアルな撮影地にこだわったのか。それは私たち観客にとって、この映画を観ることが惑星アラキスを体験することであってほしかったからです。
撮影地を決めることは砂の惑星で撮影することと同じ
本作に登場する空飛ぶ乗り物オーニソプター。VFXによって本当に砂漠にあるようにみえますが、実際には別の場所で撮影されています。環境を整えやすいように思える屋内ではなく、このオーニソプターはあえてハンガリーの屋外で撮影しています。
It all stems from the beginning, that the reality of how you shoot it.
Exclusive: ‘Dune’ Cinematographer Greig Fraser on Shooting With Denis Villeneuve and Why Daytime VFX Are a Struggle to Get Right/Colliderより引用
(すべては、どのように撮影するかという現実に始まる。)
撮影監督グレイグ・フレイザーはVFXで違和感が限りなく無くなるように、本物の太陽の光に照らされたオーニソプターを撮影することでこの問題を解消しています。撮影する段階からリアルを求め、編集は最小限にすることを大事にしています。
砂の惑星アラキスの砂漠
Image:Warner Bros. Pictures/YouTube
メインの舞台となる砂の惑星アラキスの砂漠は、アブダビとヨルダンの砂漠で撮影されています。
巨大なサンドワーム、シャイー=フルードが住み、宇宙で最も貴重な資源のスパイスが取れる広大な砂漠の風景はアブダビのリワ砂漠。アラキス最奥部に住む原住民のフレメンが活動する岩山が連なる砂漠は、ヨルダンのワディ・ラム砂漠です。
風により常に形を変える砂漠で撮影するため、撮影エリアをロープで区別し、スタッフの足跡が残らないように慎重に撮影が行われています。
惑星カラダンの広い空と海と山に囲まれた自然
Image:Warner Bros. Pictures/YouTube
ポールたちアトレイデス家が治めていた惑星カラダンの海と山とさえぎるもののない空が広がるロケーションは、ノルウェー・ヴェストランにあるスタ半島で撮影されました。地理的にその気候は厳しく、その激しさは世界初の船舶用トンネルの建設が進められているほど。そんなスタ半島はポールの父レト公が空と海を味方につけた惑星カラダンとして最適な撮影地です。
ポールの寝室、図書館など屋内の内装の美術
Image:Warner Bros. Pictures/YouTube
およそ10000年後のDUNEの世界は、プロダクションデザイナーのパトリス・ヴァーメットによって、ハンガリー・ブダペストのオリゴ・フィルム・スタジオで作られました。角ばった形の惑星アラキスの建物は、時速700キロにもなる風を切るような作り。昆虫のような鳥のような翼をもつオーニソプターは、そんな風の中でも飛ぶことができる乗り物です。
ポールたちが住んでいた空と海の惑星カラダン、新たに移り住んだ惑星アラキス、ハルコンネン家の惑星ジエディ・プライム。ヴァーメットはそれぞれの住環境に合わせた建物を設計しています。
特徴的な装飾がほどこされた内装は、寝室から図書館まですべてこの映画のためにスタジオで制作されたセットです。
この映画を観ることは砂の惑星への宇宙旅行
主人公を演じたティモシー・シャラメはインタビュー映像で、グリーンバックによる合成はたった2か所であることを明かしています。ロケ地を知るとこの壮大な宇宙の物語がまるでこの地球で繰り広げられているかのように感じます。