「DUNE/デューン 砂の惑星」のジャミスの夢はポールのビジョンであり自由でもある証

「DUNE/デューン 砂の惑星」ビジョンをみるポール
Image:Warner Bros. Pictures / YouTube

ポールにとってジャミスとは何だったのか。圧倒的な映像と期待感であっという間に見終わってしまうドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によるSF映画「DUNE/デューン 砂の惑星」。

砂の惑星のスパイス(メランジ)やベネ・ゲセリットの声(ヴォイス)などDUNEの世界には不思議なものがたくさんあり、ポールの夢もそのひとつです。その夢に登場するジャミスは特に難解な存在です。

それもそのはず、監督であるドゥニ・ヴィルヌーヴでさえポールの夢やビジョンに登場するバブス・オルサンモクン演じるジャミスをどう映像に表現するか悩んだといいます。

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ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督にとってのポールの夢

But I will say this – one of the challenges that I had was how to bring the idea, like in the book, where Paul can foresee a future that is shifting all the time.
(でも、これだけは言っておきたい–私が抱えていた難題のひとつは、本に出てくるような、ポールが常に移り変わる未来を予見できるというアイデアをどう持ち込むかということだった。)

Dune Spoiler Interview: Denis Villeneuve On The Ending, Paul’s Dreams, And What’s Coming In Part Two

ポールが夢で見る景色やスパイスを吸い込むことでみえるビジョンは、ポールのひとつの大きな力です。監督によるとそれはひとつの未来でもあり、ポールの選択によって変化する可能性でもあります。

ジャミスと出会う前

「DUNE/デューン 砂の惑星」ジャミスと決闘するポール
Image:Warner Bros. Pictures / YouTube

ポールに未来予知の力があるのではないかと最初に思ったシーンは、ダンカン・アイダホの死を連想させる映像が流れたときです。結局ダンカンはポールの盾となってサーダカーとの戦いで命を落とします。

やっぱりポールには未来がみえる力があるんだと思っていると、重要そうな人物として登場するのがジャミスです。この先デューンでハルコンネン家や皇帝に対抗する力を得なければいけないポールを導いてくれそうな雰囲気です。ポールはスティルガー率いるフレメンと遭遇したときに初めて現実のジャミスと出会います。

出会いはポールの夢から期待されるようなものではなく、ここからジャミスと熱い友情が結ばれ、フレメンとともにポールが砂の惑星の力を手に入れていくストーリー展開を期待しているところにポールとジャミスの決闘が行われます。結果ジャミスは死んでしまいます。

ここから分かることは監督も答えているとおり、ポールの夢やビジョンははっきりとした未来の場合もあるし、そのメッセージからポールが選択することで変わる未来でもあるということです。

ジャミスが死んだあと「デューン 砂の惑星PART2」

1作目でポールが最も恐れていたことは夢でみた、自分がリーダーとなり全宇宙を巻き込む大量虐殺につながる戦争です。夢からのメッセージでポールを助けてくれていたジャミスは、現実ではまったく違ったキャラクターとして現れ死んでしまいましたが、PART2でも引き続きポールを夢で助けてくれています。

夢は深淵からのメッセージ

1作目の冒頭で「夢は深淵からのメッセージ」という言葉が流れます。夢はポールの大きな力のひとつですが、そこから先なにを選択するかはポールの決断しだいです。PART2ではポールの意思に反して少しずつフレメンの狂信的なリーダーになり、全宇宙との戦争に向かう流れとなっていました。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による映画化はPART3までと宣言されています。ポールの選択が物語にどうつながっていくのか楽しみです。