Image: Youtube/Warner Bros. Pictures/(C)2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved
クリストファー・ノーラン監督作品には、観た人が自由に想像できるシーンがたくさんあります。
「TENET テネット」の登場人物ニールもそのひとつです。
この記事では、「ニールの正体はマックスじゃないか」説を中心にノーラン作品の特徴について書いていきます。
※この記事は映画「TENET テネット」のネタバレを含みます。
答えがないのを楽しむのがノーラン監督の映画
出典:Youtube
クリストファー・ノーランは「インセプション」のコマしかり「TENET テネット」のニールしかり、観客に想像させることが大好きな監督です。
ストーリーは伝えつつも、いかに謎を詰め込むかに心血を注いでいるようにも思えます。
ノーラン監督はニールについて次のように説明しています。
We think he might be called Neil. You never really quite know what’s going on with these identities.
CINEMA BLENDより引用
彼はニールと呼ばれるかもしれないと思います。あなたはこれらのアイデンティティで何が起こっているのかを本当に完全に知ることは決してありません。
つまり「ニールが誰かなんて多分誰もわからないだろう(笑)」ということです。
ノーラン自身、狙ってニールを謎多きキャラクターとして設定しています。
このようなところがノーラン作品の良さでもあります。
ファンの考察が鋭いこともノーラン作品の特徴
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クリストファー・ノーラン監督作品に対するファンの考察はどれも鋭いものばかりです。
みんな学者や研究者のような知識量で推測しています。
そもそもの「ニールの正体はマックス」説はredditの投稿などのファンの推測です。
その中には真の答えにたどり着いているものもあるかもしれません。
クリストファー・ノーランが正解を明かすことはありませんが。
映画ファンの間でこのような推測や議論が巻き起こることはノーランの狙い通りといえます。
ノーランはこのような間接的なファンとの交流こそ楽しみにしている監督でもあります。
それでもニールがマックスだと考える3つの根拠
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ここではニールが「未来から逆行してきたマックスだ」とする根拠としてよくあげられている3つを紹介します。
その1.「ニール」の綴りはマックスを反転させたものである
「ニール」が名前なのか愛称なのかは分かりません。
ニールという名前がマックスの回文なのではないかというものです。
マックスの綴り「Max」は「Maximilien」の略ではないかといわれています。
「Maximilien」を逆から読むと「Neilimixam」。
その冒頭の綴りは「Neil」。
つまり「ニール」ということです。
時間が逆行するTENETらしい考察です。
ちなみにタイトルのTENETも回文です。
TENETにはいたるところに逆行構造が詰め込まれています。
その2.親譲りのニールの言葉
ニールは母(の可能性がある)キャットと同じ訛りのイギリス英語を話すこと。
エストニア語をニールが知っているということ。
エストニア語はエストニアではもちろん、ロシアでも話される言葉です。
マックスの父親であるセイターはロシア人です。
仮にニールがマックスであればエストニア語を話せてもおかしくありません。
ちなみにエストニア語はタリン周辺の公用語で、アルゴリズムを奪い合ってカーチェイスが行われた場所です。
その3.ニールの髪色
ニール役ロバート・パティンソンは「TENET」のために金髪に染めたとされています。
パティンソンのもともとの髪色はライトブラウンです。
ニールの正体がマックスだという隠し設定のために髪を染めたとしたら粋な演出です。
これらファンによる考察合戦ともいう反応はノーラン含めキャストにも届いています。
ファンの考察にワシントンは好意的な反応
出典:Youtube
主人公名もなき男を演じたジョン・デビッド・ワシントンは、ファンの「ニールがマックスである」という推測に好意的です。
“I saw that one the other day—I like that!”
Esquireより引用
「私は先日それを見ました—私はそれが好きです!」
もちろんキャストもファンの考察に対して正解、不正解は言いません。
クリストファー・ノーランだけでなくキャスト陣もファンの様々な推測や考察を楽しんでいるようです。
クリストファー・ノーラン監督はクリフハンガーが好き
クリフハンガーとは結末をはっきりとさせずにエンディングを迎え、観客に自由に想像させる演出手法のひとつです。
クリストファー・ノーランが得意とするこの手法には賛否両論あります。
しかしノーランは「まだ誰も見たことのない世界を体験させてくれる」映画監督であることは間違いありません。
「ニールは未来から来たマックスなのかどうなのか」という疑問は物語の結末には直接関係しませんが、間違いなくクリストファー・ノーラン監督が仕掛けたクリフハンガーのひとつです。