「1917 命をかけた伝令」と実話とのつながり

1917

出典:IMDb/(C)2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

映画を観たあとに、それが実話だと知り衝撃を受けることがあります。

「1917 命をかけた伝令」は全編ワンカットということだけでなく、実話をもとに作られた映画でもあります。

サム・メンデス監督は祖父の話から脚本のアイデアを得ています。

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サム・メンデス監督の祖父の話

サム・メンデス監督

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サム・メンデス監督は「1917」が実話かどうかについて次のように説明しています。

“The story of 1917 was inspired not only by my own family history, but also by many others”

出典:THE SCOTSMAN

直訳:「『1917』のストーリーは、私自身の家族の歴史だけでなく、他の多くの人々からもインスピレーションを得ました」

サム・メンデス監督の祖父・アルフレッドはイギリス軍で伝令兵を務めていました。

アルフレッドは体格が小柄で軽快に動けることから伝令兵として選ばれたそうです。

「1917」で描かれる時代の少し後に起きるパッシェンデールの戦いにも志願し、そこでの活躍により受勲されています。

メンデス監督はそのような祖父の話を「1917」に込めています。

ジョージ・マッケイの叔父の話

ジョージ・マッケイ

出典:IMDb/(C)2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

「1917」は主人公キャストのジョージ・マッケイにも実話ともいえるつながりがあります。

スコットランドのニュースサイトTHE SCOTSMANには次のように書かれています。

1917 also has real life connections to lead actor George MacKay, whose character in the film is tasked to deliver a message deep in enemy territory.

出典:THE SCOTSMAN

直訳:「1917」は主演俳優ジョージマッケイとの現実的なつながりもあります。映画の登場人物としてジョージマッケイは、敵の領土の奥深くにメッセージを届けることを任されています。

マッケイの叔父・アルバートもまた西部戦線から数キロ離れたフランスにいました。

アルバートは「1917」でのマッケイのように、信号機手や電話交換手としてメッセージを伝える役目を務めていました。

これにはマッケイ演じるスコフィールドが敵地深くへとメッセージを伝えに行く姿に通じるものを感じます。

「1917」はアルベリッヒ作戦での出来事が舞台

アルベリッヒ作戦

出典:IMDb/(C)2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

「1917」での重要なイベントは、「ドイツ軍が撤退しているようにみせかけている」ことです。

これは第一次世界大戦の西部戦線におけるドイツ軍のアルベリッヒ作戦のことです。

「1917」で描かれていたように、ドイツ軍は撤退と同時に水道、電線、橋など連合国に役立つものは破壊しています。

「1917」では、前線のなか主人公スコフィールドがメッセージを届けるストーリーだけでも戦争の悲惨さが伝わってきます。

現実の歴史では「1917」のストーリーのあとにパッシェンデールの戦いに続きます。

この戦いでは、連合国軍では約45万人、ドイツ側では26万人の死傷者が記録されています。

この事実を知ったうえで「1917」を鑑賞すると、サム・メンデス監督の次の言葉に、より重みを感じます。

“I hope very much that the stories of those that came before us and fought on our behalf live on in our movie,”

出典:THE SCOTSMAN

直訳:「私たちの前に生き、私たちのために戦った人々の物語が私たちの映画に生き続けることを強く望んでいます」