「1917 命をかけた伝令」感想|ワンカットで伝わってくる臨場感

いくら話題になっていてもそれが戦争映画だとしたら観るかどうか迷うもの。

「あまりにも辛い内容だったらどうしよう…」

映画「1917 命をかけた伝令」は”全編ワンカット”風に撮影されたからこそ、他の戦争映画とは違う作品でした。

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戦争を繰り返し描く意味とは?

サム・メンデス監督は、次のように説明しています。

いまのわたしたちは自分中心的な社会で暮らしている。

だが、かつては自分よりもっと大きなもののために、自らを犠牲にする世代がいた

自由を得るため、ひとつのヨーロッパを作るため、子供により幸せな人生を提供するため……。

理想主義に過ぎないと言われるかもしれないが、ストーリーテラーとして理想を描くことができないなら、存在価値がないんじゃないかと思う。

出典:BANGER!!!

第一次世界大戦がどんなものだったか。

その中で繰り広げられた作戦がどんなものだったか。

とは違い、その大戦、作戦の中で一人の兵士や人間がどんな状況だったのかを伝える映画が最近増えています。クリストファー・ノーラン監督の「ダンケルク」、メル・ギブソン監督の「ハクソー・リッジ」。

「1917 命をかけた伝令」も第一次世界大戦真っ只中の一人の上等兵に注目した映画です。

これまで注目されずとも、確かにその時代を生きた人たちがいることを知ることができるだけで、映画で戦争を繰り返し描く意味があります。

ワンカットだから伝わるもの

本作は初めから終わりまで一発撮り、という意味のワンカットではありません。

ひとつひとつのシーンがかなりの長回し撮影で、それがうまくつながったワンカット風の映画です。

だからといってワンカットが嘘かというと、まったくそんなことはありません。

いつカットが変わったかわからないくらいに自然にシーンがつなげられています。

臨場感、没入感がすごい

ワンカットが生み出すものは臨場感と没入感です。

サム・メンデス監督は、次のように語っています。

観客にはこの2人と共に前進し、共に呼吸してほしいと思っている。

出典:AV Watch

監督の意図したとおり、観客は主人公の経験を追体験していくことになります。

登場人物たちに起こることが画面の中でリアルタイムに映されていきます。

これは各シーン長回しワンカットだからこその映像です。

その臨場感のおかげで映画への没入感もすごいです。

正直、カットが切れるのはどこかな、と探している自分がいました。

気がついたときには映画に集中していてそれどころではありませんでした。

リアリティがすごい

ワンカットによる臨場感、没入感は映像にリアリティを持たせます。

リアリティのある映像は観ていて飽きません。

次に何が起こるのか、どんな結末が待っているのか。

観ている瞬間には何も起きていなくても、ずっとその映像を見てしまいます。

まるでドキュメンタリー映像

映画「1917 命をかけた伝令」を観ていて思うことは、ドキュメンタリーっぽくもあるということです。

ワンカット撮影による臨場感、没入感そしてリアリティ

これらが合わさるとドキュメンタリー映像のようにも見えてきます。

ジョージ・マッケイとディーン=チャールズ・チャップマン、二人による伝令兵のドキュメンタリー映像のような映画です。

そんなワンカット映像どうやって撮影した?

撮影監督はロジャー・ディーキンス

撮影監督は「ショーシャンクの空に」「ブレードランナー 2049 」などのロジャー・ディーキンスが務めています。

ロジャー・ディーキンスは本作での撮影をこう語っています。

「ワンカットのアイデアをサムと話した瞬間から素晴らしい没入体験映画になると確信したし、この物語には必要不可欠だと感じた」

出典:AV Watch

大ベテランが並々ならぬ気合で本作を撮影指揮したことがわかります。

4ヶ月のリハーサル

実際に本作を撮影するにあたり4ヶ月のリハーサルが行われています。

ディーキンスはメンデス監督とともに、役者とカメラマンの振り付けともいうべき動きを綿密に打ち合わせしたそうです。

だからこそ生み出されたワンカット映像です。

最新カメラ「アレクサ・ミニLF」を使用

また本作に完成を合わせて作られた最新カメラも使われています。

本作で使用されたアレクサ・ミニLFは、大画面フィルムを取ることを可能としながらコンパクトな機体です。

そのため役者にアップした映像、全体の景色が分かる引きの映像などあらゆる画角からの撮影が求められる「1917」に必要不可欠な要素を備えたカメラが使用されています。
情報ソース:AV Watch

映画「1917 命をかけた伝令」で圧倒的な映画体験、没入体験をしてみてください。

映画「1917 命をかけた伝令」とは

第92回アカデミー賞(2020)にて撮影賞などを受賞。

あらすじ

若きイギリス兵の”ある一日”を壮大なスケールと深いドラマで且つリアルタイムで描く

出典:公式Twitter

キャスト

スコフィールド上等兵(ジョージ・マッケイ)
ブレイク上等兵(ディーン=チャールズ・チャップマン)
スミス大尉(マーク・ストロング)
レスリー中尉(アンドリュー・スコット)
母を亡くした赤子を守る女性(クレア・デュバーク)
ブレイク中尉(リチャード・マッデン)
エリンモア将軍(コリン・ファース)
マッケンジー大佐(ベネディクト・カンバーバッチ)

出典:映画.com