キングスマンのエグジーの英語からわかる、変化するものが生き残れるということ

派手なアクションだけではなく、地球環境の問題をテーマに取り入れ、ストーリーも本格派な「キングスマン」(2014年製作)。

監督のマシュー・ヴォーンは、イギリスに根強く残る階級社会の文化も色濃く演出しています。

その演出のひとつ、労働者階級なまり英語のアクセントは、エグジー役のタロン・エジャトンを苦しめました。

※この記事には一部「キングスマン」のネタバレを含みます。

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エジャトンを苦しめた英語アクセント

タロン・エジャトンの出身地はウェールズにある村、ランヴァイル・プルグウィンギル・ゴゲリフウィルンドロブル・ランティシリオゴゴゴホ(Llanfairpwllgwyngyll)です。

ロンドンからおよそ450kmにあります。

日本だと東京から宮城までの距離です。

これだけの距離があれば、その土地ならではのなまりがあることは簡単に想像できます。

さらに劇中のエグジーは東ロンドン、労働者階級なまりの設定です。

エジャトンは Entertainment Weekly に対して、英語のアクセントはアクションのトレーニングと同じくらい苦しんだと答えています。

The accent was terribly difficult to perfect

アクセントを完璧にするのは非常に困難でした

‘Breaking Big’: ‘Kingsman:The Secret Service’ star Taron Egerton/Entertainment Weekly より引用

あれだけダイナミックなアクションと同じくらいの困難さということで、どれほど難しかったのか伝わってきます。

アーサーの最後のセリフに隠されたアクセント

英語のアクセントによる階級社会の演出は、マイケル・ケイン演じるアーサーにもあります。

アーサーといえば、労働者階級出身のエグジーの父親をハリーがエージェント候補生として育てたことに否定的で、上流階級至上主義のような人間として描かれています。

しかし彼の裏切りが判明し、エグジーが返り討ちにしたときに放ったセリフに、アーサーの本当の素性が隠されています。

You dirty… little fucking prick..

この汚い…クソガキが…

Michael Caine: Arthur/Quotes/IMDb より引用

このセリフを聞いてはじめは、下にみていたエグジーにしてやられて、怒り心頭しただけだと思いました。

しかしこのセリフには、アーサーも実は労働者階級の出身であることがほのめかされていたようです。

形だけの上流階級は滅び変化する世代が生き残る

エグジーたちの頑張りにより、他者を排除しようとしたヴァレンタインや上流階級の人間たちは滅びました。

ヴァレンタインはこれからの地球を諦め、現状を維持しようとしました。

お金持ちや政治家たちは、自分が上流階級であることを維持しようとしました。

労働者階級から紳士/エージェントとなったエグジーや、そのエグジーを受け入れたハリーは変化を恐れていません。

ハリーの名セリフに「Manners maketh man.(マナーが紳士を作るんだ。)」とあるように、変われる人間に強さを感じます。

ヴォーン監督のさりげない階級社会の演出には、人は生まれではなく努力で自分を変えることでどうとでもなるというメッセージを感じます。