Image:Warner Bros. Pictures / YouTube ポールの予知能力、フレメンとの出会い、ハルコンネン家の陰謀、そしてスパイスハーベスターを丸ごと飲み込む巨大生物サンドワームの登場まで、フランク・ハーバートによる壮大な物語が見事に映像化されている。
1965年にアメリカの作家フランク・ハーバートが執筆し、いまもなお古典SFとして愛されている「デューン砂の惑星」(原題:Dune)。14歳のころに原作を読み17歳でデビッド・リンチ監督による初の映画化を観たドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。そのころからいつか映画化への思いを抱えてきた。
各メディアからのインタビューでのコメントからヴィルヌーヴ監督が何を考えながら映画化を進めたのかがみえてきた。
映画「DUNE/デューン 砂の惑星」とは:原作への敬意と映像化への挑戦
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は、人生のバイブルとして何度も原作を読み返し、その度に新たな発見をしてきた。この壮大な物語を映像化するにあたってヴィルヌーヴ監督は、フランク・ハーバートが「Dune」のなかに作り上げた精神世界をできるだけ観客が体験できる映像にしようとした。
あらすじ:砂の惑星アラキスを舞台にした壮大な物語
Image:Warner Bros. Pictures / YouTube 惑星アラキスで初めてスパイスを手に取るポール
物語の舞台は水平線のように砂漠が広がる惑星アラキス(通称:デューン)。宇宙を支配する貴重な資源「メランジ(スパイス)」の唯一の供給源であるアラキスの統治を、皇帝から任されたアトレイデス家は、その利権を巡る争いへと巻き込まれていく。
10代の頃から映画化の想いを抱いてきたヴィルヌーブ監督は、他の作品を撮影しているときも「Dune」のロケ地として使えそうな場所をマークしていたという。(関連記事:「この地球上のどこに砂の惑星を見つけたのか?映画「DUNE/デューン 砂の惑星」のロケ地巡り」)
ネタバレ解説:ポールの覚醒、フレメンとの出会い、そしてハルコンネン家の陰謀
ポールの予知能力と覚醒
Image:Warner Bros. Pictures / YouTube ポールは惑星アラキスで大量のスパイスを吸い込むことで能力が覚醒していく
ポールは、幼い頃から未来を予知する夢を見ていた。アラキスに来てから、その能力はより鮮明になり、彼の運命を大きく左右することになる。
公開前から2部作とされ、パート1である本作では、アトレイデス家の跡継ぎとして家の中だけで育ってきたポールが、新たな世界と出会い成長しはじめる姿を描いたとヴィルヌーブ監督はインタビューで答えた。
For the first movie, we are following Paul, who is discovering a world. It’s more meditative, more contemplative, more him in contact with the elements.
Denis Villeneuve on How ‘Dune: Part Two’ Expands on ‘Part One’より引用
(1作目では、ポールが世界を発見する様子を追っています。より瞑想的で、より思索的で、自然と触れ合うポールの姿です。)
映像、音楽そして衣装でポールの内面の葛藤と成長が丁寧に表現されている。観客はポールの視点を通して、壮大なポールの運命を体験することになる。(関連記事:「「DUNE/デューン 砂の惑星」主人公ポールの運命は自由か操られたものか」)
フレメンとの出会いと砂漠の民の生き様
Image:Warner Bros. Pictures / YouTube
フレメンは、アラキスの過酷な環境に適応した、屈強な戦士たちだ。ポールは、彼らとの出会いを通して、砂漠での生き方を学び、彼らとの絆を深めていく。
ヴィルヌーブ監督は、フレメンの文化や生活様式を、できる限りリアルに描写することにこだわった。アトレイデス家の住居となった屋内の壁画や、過酷な砂漠で生きるためのスティルスーツなどの衣装にそのこだわりは表れている。また大きなテーマのひとつとして人類の進化や生態学の視点を含めた、フランク・ハーバートの精神を象徴するサンドワームの造形もこだわりをみせている。(関連記事:「DUNE/デューン 砂の惑星」の衣装はデザイナーが作った1万年後の宇宙のファッション)
ハルコンネン家の陰謀とアトレイデス家の崩壊
Image:Warner Bros. Pictures / YouTube
ハルコンネン家は、アトレイデス家を陥れるために、卑劣な陰謀を企てる。その結果、アトレイデス家は壊滅的な打撃を受け、ポールは逃亡を余儀なくされる。ハルコンネン家の残忍さ、そして権力への執着は、人間の暗部を象徴し、抵抗し立ち上がり成長するポールの姿は神話のはじまりを感じさせる。
映画の見どころ:映像美、音楽、そして豪華キャスト
圧倒的な映像美
IMAXカメラを使用し、砂漠の壮大さ、そして宇宙の神秘を、最大限に表現し、宇宙船や戦闘シーンなど、細部にまでこだわり抜いた映像は、観客をデューンの世界へと没入させる。
ハンス・ジマーによる音楽
映画音楽界の巨匠、ハンス・ジマーによる音楽、ロワール・コトラーによる力強い歌声、そしてチャス・スミスによって作られた砂漠の音楽のためのオリジナルの楽器は、物語に深みと感動を与えてくれる。(関連記事:「DUNE/デューン 砂の惑星」の音楽でハンス・ジマーは砂の音を目指した)
豪華キャスト
「DUNE/デューン 砂の惑星」には多種多様なキャラクターが登場する。それぞれのキャラクターがそれぞれに思惑をもち、次に何が起こるか分からない面白さにつながっている。それぞれのキャラクターに、深みと複雑さを与えるティモシー・シャラメ、レベッカ・ファーガソン、オスカー・アイザックなど、豪華キャスト陣の演技も見どころです。(関連記事:「DUNE/デューン 砂の惑星」でポールが出会うキャラクターたち)
1万年後の壮大な人類の世界
映画「DUNE/デューン 砂の惑星」は、単なるSF映画ではなく、人間の本質、そして運命について深く考えさせられる作品です。PART1製作中、PART2の製作は正式には決まっていなかったが、世界興行収入400億円越えの興行成績をおさめた映画「DUNE/デューン 砂の惑星」の物語はまだまだつづく。