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「TENET テネット」を観たけど、意味がわからない。それは普通です。映画はストーリーと監督がインタビューなどで語る、そこに込められた意味が楽しみだったりします。
しかしクリストファー・ノーランは、製作については多少話してくれますが、ストーリーに関してはほとんど明かさない監督です。だからこそファンの間で考察が盛り上がったりはするのですが。
それでも意味が少しでもわかった方が、より「TENET」を楽しめると思います。そこで関連のありそうなキーワードとともに「TENET」に込められた意味を考察していきます。
「TENET」とは何を意味するのか
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英語としての意味は、「主張、主義、教義」です。日本語訳字幕では「主義」と表示されていました。ストーリーとしては世界を滅ぼさんとするセイターや未来人に対抗する組織の名前でした。
タイトルは中間点を意味する
それではこのTENETという単語はどこからきたのか。ファンの間ではSATORスクエアという回文からきていると考えられています。
世界最古の回文SATORスクエア
Sator square/Creative Commons
SATORスクエアとは、ラテン語による有名なワード・スクエアです。ワード・スクエアというのは、正方形の格子上に、同じ単語が縦にも横にも読めるように文字が並んだものです。
なんとこのSATORスクエアに「TENET」に登場する、重要なキーワードすべてが含まれているんです。
- SATOR(セイター)
- AREPO(トマス・アレポ)
- TENET(テネット)
- OPERA(オペラハウス)
- ROTAS(ロータス社、回転ドア)
そしてこのSATORスクエアの中心にあるのが、タイトル「TENET」です。
監督のノーランは、タイトルであるTENETは脚本を考えはじめる早い段階で決めていたそうです。SATORスクエアを、後付けで各キーワードと結びつけるのは、難しいと思います。
ノーラン監督が脚本を書く前、もしくは調査段階で、このSATORスクエアから何かしらのインスピレーションを得たと考えてもおかしくありません。
OPERA(オペラハウス)
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SATORスクエアに最初に出てくるOPERAには、仕事、労働などの意味があります。本編でも最初に登場するシーンは、オペラハウスのシーンです。
冒頭オペラハウスのシーンでのテロは、主人公の名もなき男をTENETに誘うテストでもありました。これから世界を救う仕事をするであろう名もなき男を、TENETに誘うシーンとして最適です。
最終決戦の10分
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TENETはスタルスク12での最終決戦が行われた時間とも言われています。最終決戦が行われたのは、順行側、逆行側からのたったの10分間の作戦です。
英語の10を順行、逆行の2つ合わせると、ten net=tenet になります。
TENETを中心に描かれる世界の滅亡
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「TENET」はTENETという壮大なタイトルを中心に、アルゴリズムによって引き起こされる世界の滅亡を描いています。「黄昏に生きる」という合言葉は、そのまま世界が闇に包まれるのか、朝日を向かえることができるのか、中間の世界を意味しています。
アルゴリズム
アルゴリズムが意味するのは、未来人による時間を奪い合う第三次世界大戦です。セイターや名もなき男は、その未来人の代理で戦っています。
名前のない主人公のラスト
「TENET」では情報が一番強い武器になります。名もなき男に名前がなかったのは、そのためです。名前がなければ情報が残りにくくなります。セイターなどの敵に先回りされる危険を減らせます。
名前のなかった名もなき男は、ラストにはTENETの主役になりました。
意味深なジェスチャー
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名もなき男が最初に与えられたのは、TENETという言葉と手を前で合わせるハンドサインのジェスチャーだけでした。このジェスチャーは、研究者バーバラやプリヤと初めて会ったときにTENETの仲間であるサインで使われています。
そしてもう1つは、ニールが時間の逆行によるパラドックスやアルゴリズムが起動するとどうなるのかの説明をするときに使っています。ニールは時間の逆行を繰り返す度に時間の矢が複雑に絡み合う動きとしてこのジェスチャーを使っています。
コンパクトに意味がまとめられている
1つ1つの意味を考えると、いろんな要素が含まれています。でもTENETという単語ひとつでこれらすべてがコンパクトに意味がまとめられています。TENETという言葉1つで、ここまでファンに考察させるのは、さすがクリストファー・ノーラン監督と感じます。
TENET テネット(字幕版)
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