トム・クルーズ初プロデューサー作品、映画「ミッション:インポッシブル」のあらすじネタバレ解説

「スパイ大作戦」を映画化したミッション:インポッシブルシリーズ
Image: Paramount Movies/YouTube

全世界興行収入4.5億ドルを記録した「ミッション:インポッシブル」(1996年製作)。キャストには当時すでに映画「レオン」(1994年製作)で世界的に有名になっていたジャン・レノを迎えています。アメリカの大人気テレビドラマ「スパイ大作戦」の映画化1作目でもあり、トム・クルーズが初プロデューサーとして強く熱望し実現した作品でもあります。シリーズ全8作を予定しており、2023年7月21日(金)には最新作「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」が公開。

「不可能な任務」を意味するタイトルを打ち破るトム・クルーズ演じるイーサン・ハントの泥臭くも爽快なスパイアクション。本編は見たことなくとも聴けば誰もがピンとくる優れたテーマ曲、アクションとスパイが大好きな人には超おすすめな映画です。

※本記事には本編の大幅なネタバレを含みます。

スポンサーリンク

ミッション:インポッシブルとはどんな映画なのか簡単に要約

トム・クルーズ演じる、CIAの秘密組織IMF(Impossible Missions Force)のエージェントであり頼れるチームリーダー、イーサン・ハント。そんなイーサンがときには全力で走り、ときには世界一のビルをよじ登り、ときにはヘリを操縦する。最新スパイガジェットを駆使しつつも、有名な天井宙吊りシーンをはじめとし最終的には超アナログなアクションでどんな困難にも思えるミッションをも達成する映画です。

IMFチームリーダー、イーサン・ハント

1作目から画期的なスパイガジェットの変装マスク
Image: Paramount Movies/YouTube

CIAの秘密組織IMF、その情報員イーサン・ハント率いるチームは、キエフ(キーウ)のとあるホテルの一室で男からスパイの名前を聞き出そうとしていた。初老の紳士風のエージェントに尋問される男は、ベッドで血まみれになって倒れている女に動揺し、スパイの名前を絞り出すように答える。情報を聞き出すとすぐさまエージェントは男を眠らせ、仲間に撤退の合図を出し、顔に付けていた変装マスクをはがす。ベッドに倒れていた女性の蘇生をはじめ、目を覚ますと作戦は成功したことを伝える。彼女もチームの一人だった。ホテルのようにみえた部屋もキャスター付きの壁で囲まれただけの倉庫のような場所だった。この初老の紳士にしかみえなかった男こそチームリーダーのイーサン・ハントであり、イーサン・ハント(トム・クルーズ)が所属する機関がCIAの秘密組織IMFである。一方そのころ、イーサンの師であり上司でもあるジム・フェルプス(ジョン・ヴォイト)は、移動中の飛行機のなかで次のミッションの指令を受け取っていた。「例によって君らが逮捕あるいは殺されても当局は関知しない」(指令のあとに必ずつくお決まりのセリフ)

「ミッション:インポッシブル」1作目キャスト
Image: Mission Impossible Writer Explains Why Ethan Hunt’s First Team Had to Die/CBR

次のミッションのためにプラハのアジトでジムと合流したイーサンたち。メンバーは工作員のサラ・デイヴィス(クリスティン・スコット・トーマス)、ハッカーのジャック・ハーモン(エミリオ・エステベス)、監視役のハンナ・ウィリアムズ(インゲボルガ・ダクネイト)、ジムの妻でもあるクレア(エマニュエル・ベアール)。先日のミッションでは別行動でシカゴの高級ホテル、ドレイク・ホテルに宿泊していたというジムにわっと沸くメンバー。今回のミッションはアメリカ大使館員の裏切り者アレクサンダー・ゴリツィンによって奪われようとしているNOCリスト(東欧に潜入しているCIAの情報員リスト)の現場写真と、ゴリツィンを買い手とともに逮捕すること。ミッションの準備中、ジャックは赤と緑の2色でできた板ガムを取り出す。混ぜれば5秒後に爆発する爆弾だ。「嚙むなよ」とイーサンはその爆弾を受け取る。

ジャックとサラはカメラ付きメガネや通信機能付きイヤホンの確認、ハンナとクレアはゴリツィンの逃走経路の確認、イーサンは変装するワルツァー上院議員の映像を確認、おのおの作戦の準備を進めいよいよ会場へと潜入する。イーサンの変装もばれず、サラはゴリツィンをマーキング、認証付きエレベーターもジャックのハッキングにより通過。ミッションは順調かに思われた。しかしまずはジャックの通信が途絶え、腕時計のモニター越しでは何者かに銃撃されるジムの様子が、クレアとハンナが乗る車は爆発。イーサンの指示で一人ゴリツィンのあとをつけていたサラのもとに駆け付けると、すでに息絶えたゴリツィンとナイフが刺さったサラが。NOCリストのディスクも奪われ、イーサンを残しチームも全滅してしまう。急いでIMF本部へと連絡したイーサンは、グリーン地点で長官のユージーン・キトリッジ(ヘンリー・ツェニー)と落ち合うことになる。

裏切り者ヨブにはめられたイーサン

「ミッション:インポッシブル」映画化を実現したトム・クルーズ
Image: Paramount Movies/YouTube

突然仲間を失い自分を責めるイーサンを励ますキトリッジ。現場に別のIMFチームがいたことを指摘すると、話は本当の裏切り者の話へ。2年前からIMFの作戦が外部に漏れ始めており、今回のミッションはその裏切り者を捕まえるためのものだった。キトリッジは裏切り者がNOCリストを盗み、武器商人のマックスに売ろうとしている「Job3-14作戦」の暗号文書を手に入れていた。そこでおとりのゴリツィンを用意し、盗まれたNOCリストも本物ではなかった。チームが全滅したのはその本当の裏切り者のせいだった。そしていま、唯一生き残ったイーサンがその裏切り者として疑われていた。父親の長い闘病生活のためイーサンの実家はほぼ破産状態だった。それにも関わらずイーサンの口座には12万ドルもの大金の預金があった。イーサンはその本当の裏切り者にはめられていた。このままでは連行されてしまうイーサンは、ジャックからもらった板ガム爆弾を使いなんとかその場を切り抜ける。尾行がないことを確認しながらアジトに戻ったイーサンは、状況を打開するために情報を集め始める。

IMFのデータを検索してもなかなか情報が出てこない。ふと聖書が目につきキトリッジがいっていた「Job3-14作戦」をヒントに検索してみるとメールが立ち上がる。そこでイーサンは裏切り者ヨブとして、NOCリストは偽物で急ぎ会う必要があると、マックスへメールを送る。疲労からかそのまま寝てしまったイーサンの目の前に死んだと思っていたクレアが現れる。当然裏切り者として疑い銃を向けると、作戦中止の場合は午前4時にアジトに戻るという作戦通りに動いただけだという。クレアの言葉を信じるイーサン。するとマックスから返事があり会うことに。実際にマックスと会ったイーサンは、NOCリストが偽物であることを証明し信頼される。本物のNOCリストを自分が盗み出す代わりに、1000万ドルとその取引場所にヨブも連れてくることを約束させる。アジトに戻り、時間のないイーサンとクレアは元IMFの解雇職員から仲間を探し始める。

名シーンの誕生、天井からの「宙吊り」

元IMFの解雇職員から仲間を探す
Image: Paramount Movies/YouTube

ハッカー・キング、コンピューターの魔術師と呼ばれるほどの腕をもつルーサー・スティッケル(ヴィング・レイムス)、クレアの紹介で物資の調達や乗り物の操縦に長けたフランツ・クリーガー(ジャン・レノ)の2人を仲間にする。CIA本部からNOCリストを盗むには、ルーサーは人工情報リスク・チップ付きの686型コンピューターが必要だと言い、クリーガーが用意することに。

トム・クルーズ演じるイーサン・ハントが天井から吊り下げられる名シーン
Image: Paramount Movies/YouTube

NOCリストはCIA本部でも特に厳重に管理されている。金庫室に唯一入室できるのは情報官のウィリアム・ダンロー(ロルフ・サクソン)。そのうえで声紋テストと6桁のアクセス・コードで控え室に入室、次に網膜スキャン、最後にダブル・エレクトロニック・キーで警報装置を解除してようやく金庫室に入室することができる。イーサンたちはこれを解除するのではなく、天井からの侵入を試みる。天井からの侵入も至難の業だ。超えなくてはならない壁は4つ。まず侵入経路であるダクトのレーザー・ネット。そして音声探知機(ささやき声で警報が鳴る)。さらに温度変化探知装置(侵入者の体温で室温が1度上がると探知)。極めつけは床の圧力変化の探知装置(わずかな重みで警報が鳴る)。1つでも異常を検知するとコンピュータは自動ロックされてしまう。クリーガーが天井からイーサンを支え、イーサンは宙吊りの状態で音を立てず、CIAのコンピュータからNOCリストをディスクにコピーしなければならない。温度や音の測定器を使いながら、イーサンは驚異的な身体能力でやってのけた。

イーサンのジムとクレアへの想い

ロンドンのアジトへと戻ったイーサンはさっそくマックスへNOCリスト受け渡しの連絡をする。何度呼びかけても無視されるクリーガーは、イーサンが見ている聖書を机から払い落し、取引場所へ一緒に行くことを要求する。NOCリストを手にして強気なクリーガーだったがコピーの本物を持っているのは自分だとイーサンに言い負かされ「汚い真似をするなよ」と部屋を出ていく。イーサンが聖書を拾うとそこにはジムが別件で宿泊したといっていたシカゴのドレイクホテルのスタンプが。テレビからはイーサンの母と叔父が国際的麻薬組織の主犯として逮捕されたニュースが流れる。それを見たイーサンはキトリッジに連絡するため駅の公衆電話へと向かう。秒数を気にしながら話すイーサンは大まかにロンドンにいることが逆探知される範囲で電話を切る。それを察知したキトリッジもロンドンへと向かう。電話を切ったイーサンの目の前に現れたのは、なんと死んだはずのジムだった。

カフェに移動し話す二人。ジムは今回のことはすべてキトリッジがやったことだとイーサンに話す。冷戦は終わり諜報員は過去の遺物となり、スパイは大統領が勝手に国を動かす道具になってしまった。自分たちに残るのは「飽きのきた女房と年金6万2000ドル」それに腹を立てたキトリッジの犯行だとジムはいう。ジムの話に同意するも、イーサンの頭の中ではすべてがジムの犯行としてつながっていく。そしてクレア…

イーサンは本物のNOCリストを手に入れ、マックス、裏切り者のヨブ、すべてにけりをつけるつもりだとジムに話す。

いまでは定番のイーサン・ハントの泥臭くも人類を超越したアクション

イーサン・ハント人類を超越したアクション
Image: Paramount Movies/YouTube

翌日ロンドンに到着したキトリッジのもとにはイーサンから「TGV ロンドン駅 正午」のメッセージとともにチケットとモニター付き腕時計が届いた。フランスの高速鉄道TGVには、マックス、イーサン、キトリッジ、クレア、全員がそろった。イーサンはあらかじめ座席に貼り付けておいたNOCリストをマックスへ渡す。マックスから金は荷物車両にあり、行けばヨブも現れると伝えられる。キトリッジも列車に乗っていることを警告するクレアは、先に荷物車両に行っておくようにイーサンから指示される。クレアが荷物車両に着くとそこにはジムの姿が。クレアは驚くことなく、このままイーサンに罪をかぶせてお金だけとって早く逃げようと提案する。しかしそれはジムではなくマスクでジムに変装したイーサンだった。イーサンにとってジムがヨブであることが確定した瞬間であり、クレアも裏切り者だったことがわかった瞬間だった。驚くのもつかのま裏から銃を構えた本当のジムが出てくる。

カメラ付きメガネをかけるイーサン
Image: Paramount Movies/YouTube

聖書のスタンプで気がついたことをジムに明かすイーサン。さらにクレアはミスを犯したと。イーサンが胸ポケットから通信機モニター付きメガネを取り出すと、すべてを察するジム。モニター越しにジムの姿を確認するキトリッジ。往生際悪くクレアを撃って列車の天井から外へ逃走するジム。そこにはヘリで待機していたジムとグルのクリーガーが。追いかけるイーサン。列車はトンネルへと突入し、列車とヘリの間で壮絶なアクションを繰り広げるイーサンとジム。最後はガム型爆弾をヘリに投げつけジムとクリーガーを倒す。イーサンはその爆風で列車へと飛ばされ、なんとか無事に列車は停止。キトリッジはマックスがNOCリストを送信してしまう前に逮捕する。

後日事件はただのヘリの事故として処理され、イーサンと、イーサンの母とおじは無罪放免。ルーサーは復職した。イーサンはもうイヤになったとルーサーに別れを告げ飛行機に乗るが、そこで再びIMFからの指示を受け取るのだった。

TVシリーズキャストに嫌われたあらすじ

シリーズ原点にして名シーンも生まれた名作。しかし往年の名キャラクター、ジム・フェルプスを悪役にしてしまったことでテレビシリーズのキャストには嫌われてしまいました。それでも最後はマンネリ化して終了したテレビシリーズを映画化とはいえ、8作(予定)のシリーズにできたことは初めてながらトム・クルーズの優れたプロデュース力といえます。回を重ねるごとに進化するスパイガジェット、とどまることを知らないトム・クルーズ演じるイーサン・ハントのアクション。間違いなくスパイ映画の名作です。