SF映画『メッセージ』は原作を読むと2倍楽しめる

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によるSF映画『メッセージ』にハマったなら、原作「あなたの人生の物語」はおすすめです。

映画と原作、どちらもが両方の理解を深める助けをしてくれます。

「あなたの人生の物語」はテッド・チャンによるSF短編小説です。

映画と原作に違いはあるのか?

と気になったので、原作を読んでみました。

映画と原作の違いを中心に、感じたことを書いていきます。

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映画を観て原作を読むと面白さ2倍

『メッセージ』原作

『メッセージ』は原作「あなたの人生の物語」をもとに、エリック・ハイセラーが脚色したものです。

原作の内容

映画と原作、どちらも伝えようとしてることは同じであるように感じました。

言語と時の関係。

世界の捉え方。

主人公ルイーズがこれから迎える未来。

物語において重要な点は映画と原作のどちらも共通しています。

細かな点でいうと、映画本編と原作とに違いはありました。

ヘプタポッドたちのことばの解明

『メッセージ』原作

原作では映画本編以上に、ヘプタポッドたちのことばの解明に焦点をあてて物語が進んでいきます。


原作では話し言葉と書き言葉を、はっきりと分けて分析していきます。

話し言葉を<ヘプタポッドA>、書き言葉を<ヘプタポッドB>と明確に区別します。

ヘプタポッドたちの書き言葉は、映画の中でルイーズが、ユニバーサル言語と名づけています。

ストーリー上は書き言葉<ヘプタポッドB>に注目していくのは、映画も原作も同じです。

余計な説明をしないことで、映画は分かりやすくしてくれています。

科学的な説明も原作では、より丁寧に書かれています。

フェルマーの原理や言語学的アプローチなど。

映画でこれらは、台詞ではなく映像で視覚的にわかるようにしてくれています。

ジェレミー・レナー演じるイアンがヘプタポッドたちの前で歩いてみせるなどです。

映画と原作のストーリー上の違い

『メッセージ』原作

原作ではヘプタポッドたちが現れた理由ははっきりとしないまま消えていきます。

書き言葉<ヘプタポッドB>の解析も完璧にはできないままです。


共通するのは、言語学者ルイーズはヘプタポッドに触れることで世界の見え方が変わったことです。

そして、待ち受けるつらい未来を受け入れて、いまを生きる覚悟をしたことです。

映画の結末は、言語学者ルイーズがヘプタポッドたちのことば<ユニバーサル言語>を理解し、世界を一つにまとめるというものでした。

原作とは違うエンディングですが、短編を2時間の映画として楽しめる脚色だと感じました。

この脚色のおかげで、ヘプタポッドたちの言葉を理解するとはどういうことなのか?ということがわかりやすくなっています。


もう一つの違いは、中国の対立や兵士の反乱なども原作にはでてきません。

これらは映画のストーリーに緊迫感をもたせるために付け加えられた演出です。

世界が一つになる映画のエンディングに向かうためには、ストーリーにテンポと理由をもたせる良い原作との違いだと思います。

まとめ:原作とは違うから成功した

映画は原作とは違いがちらほらあることがわかりました。

しかしSF短編である原作をそのまま映画化したら、かなり抽象的なストーリーになってしまいます。ここまで評価されることはなかったかもしれません。

映画を観て、原作を読んで作者の思いを感じる。

これが一番『メッセージ』を楽しめます。

原作「あなたの人生の物語」は100数ページです。

普段本を読まない方でもなんとか読める分量ではないでしょうか。


ぜひ読んでみて、映画本編を観て感じた世界をより深いものにしてみてください。