【徹底解説】トム・クルーズのスーツ&腕時計&サングラスが最高にクールな理由|『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』で学ぶ、戦う男のファッション術

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』トム・クルーズのスーツ&腕時計&サングラスが最高にクールな理由
Image:Paramount Pictures UK/YouTube

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011)を観て、印象的なスーツに目を奪われた方も多いはず。しかもそれだけじゃない。ドバイの灼熱に耐えるアイウェアや、過酷な任務に挑む腕時計まで、トム・クルーズ演じるイーサン・ハントのファッションは、任務仕様=リアルに使えるカッコよさで固められている。

この記事では、映画に登場する腕時計、スーツ、サングラスの3つに絞って、細部まで徹底解説していく。

あなたの日常にも“ハント流”スタイル、取り入れてみませんか?

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トム・クルーズのスタイルが、なぜこんなにも刺さるのか?

『ゴースト・プロトコル』ではキャラクターごとに選ばれた腕時計が、その役割や性格、そしてミッションの苛烈さを物語っている。ここでは3つの主要な時計をご紹介。

腕時計:キャラクターを語る“ミッション・タイムピース”

スパイチームならば同じ腕時計でタイミングを合わせることも重要となるはずだが、それぞれ異なる腕時計をしている。

チューダー ヘリテージクロノ(Tudor Heritage Chrono Ref.70330N)トム・クルーズ(イーサン・ハント)着用

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』チューダー ヘリテージクロノ(Tudor Heritage Chrono Ref.70330N)トム・クルーズ(イーサン・ハント)着用
Image:Paramount Pictures UK/YouTube

The watch was released in 2010 at Baselworld and pays homage to the groovy Tudor watches of the 1970s. Design standouts on this one are the pronounced Tudor shield emblem, sparse dial text, angular sub-register framing, orange coloration, and screw-down crown/pushers (for water resistance).
[この時計は2010年のバーゼルワールドで発表され、1970年代の洗練されたチューダーウォッチへのオマージュとなっています。この時計のデザインにおける特徴は、際立ったチューダーの盾型エンブレム、控えめな文字盤の文字、角張ったサブレジスターのフレーム、オレンジ色のカラーリング、そしてねじ込み式のリューズとプッシャー(防水機能用)です。]

Tom Cruise Wears A Tudor In ‘Mission Impossible: Ghost Protocol’より引用

イーサン・ハントが着用していたのは、1970年代の名作「オイスターデイト・クロノグラフ」へのオマージュとも言える一本。クラシカルでありながらタフネスも備えたこのモデルは、砂嵐の中でも疾走するイーサンの腕にしっかりと巻かれ、まさに信頼できるパートナーのような存在感を放っている。

CASIO G-SHOCK GX-56-1B サイモン・ペッグ(ベンジー・ダン)着用

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』CASIO G-SHOCK GX-56-1B サイモン・ペッグ(ベンジー・ダン)着用
Image:Paramount Pictures UK/YouTube

あらゆる(X=extra)方角からの衝撃(Gravity)に耐えぬくことを目指した「GX Series」。…インナープロテクターの3時・6時・9時・12時の4箇所に衝撃吸収性に優れるアルファゲルを取り入れ…デザイン面では屈強さ、精悍さを表現。

GXW-56-1BJF | CASIOより引用

IT担当ベンジーの手元には、超タフモデル、GX-56が装着されている。このモデルはあらゆる振動・衝撃から内部モジュールを保護する耐衝撃構造を持つ。まさに現場の電子頭脳を守るための装備だ。

ロレックス サブマリーナー デイト(Rolex Submariner Date)ジェレミー・レナー(ウィリアム・ブラント)着用

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』ロレックス サブマリーナー デイト(Rolex Submariner Date)ジェレミー・レナー(ウィリアム・ブラント)着用
Image:Mission Impossible/YouTube

ロレックスのスチール製モデルのケースには、オイスタースチールが使用されている。オイスタースチールは904Lスチール系統に属し、最も一般的には、最高の耐蝕性が不可欠なハイテク産業や航空宇宙、化学産業で使用されている。

ロレックス サブマリーナー デイト ウォッチ:オイスタースチール – m126610ln-0001より引用

分析官でありながら、アクションでも高い能力を見せるブラントが選んだのは、ロレックスのアイコンとも言えるダイバーズウォッチ。高い防水性能とタフな構造を兼ね備え、見た目の上品さとは裏腹にいつでも飛び込める準備が整った一本です。

ダイバーズウォッチの雰囲気を味わうために手の届きやすいものとしては、カシオ・デューロ MDV106シリーズがおすすめだ。

それぞれのキャラに合った実用性、デザイン、背景をもつ腕時計が、彼らのプロフェッショナリズムを支えている。

スーツ:動ける男のプロフェッショナル・スタイル

衣装を担当したのは『ファイト・クラブ』(1999)や『スター・ウォーズ 続三部作』(2015、2017、2019)などで知られるマイケル・カプラン。

映画の雰囲気、キャラクターの個性、俳優の体型、すべてを考慮して作られた衣装たち。その完成度は、もはや芸術の域に達している。

ドバイのシルバーブルースーツ(カスタム仕立て)トム・クルーズ着用

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』ドバイのシルバーブルースーツ(カスタム仕立て)トム・クルーズ着用
Image:Mission Impossible/YouTube

All of the main actors’ suits in Mission: Impossible – Ghost Protocol were custom made…For Tom Cruise, we needed 16 versions of the blue suit, his shoes (20 pairs, custom made) and shirts (24, custom made) all for that one sequence alone.
[『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』で主演俳優たちが着たスーツはすべて特注品…あのシーンだけで青いスーツが16種類、靴(20足、特注品)、シャツ(24着、特注品)が必要でした。]

Michael Kaplan Talks Mission Impossible – Ghost Protocol | Clothes on Film – Clothes on filmより引用

ミッション:インポッシブルでは見た目は同じスーツでも、敵との会話シーンから格闘のアクションシーンなど様々なシチュエーションが繰り広げられる。そのためトム・クルーズ演じるイーサンが着用していた印象的なブルーのスーツだけでも16着もオーダーメイドで製作されている。

素材はモヘア混で通気性・光沢・防シワ性を兼ね備えた生地となっており、灼熱のドバイでも快適に撮影を行えるよう機能性も考えられている。実際に着用したトム・クルーズ本人が「今までで一番気に入っているスーツ」と語るほどの一着。

ムンバイでのミッドナイトブルーのディナースーツ(アルマーニ製)

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』ムンバイでのミッドナイトブルーのディナースーツ(アルマーニ製)
Image:Paramount Pictures UK/YouTube

夜のパーティでは、ミッドナイトブルーのクラシックなタキシードにチェンジ。こちらはカプランがデザインし、ジョルジオアルマーニがオーダーメイドしている。余談だがタキシードのラベルには

“Giorgio Armani for Ethan Hunt.”
[イーサン・ハントのためのジョルジオ・アルマーニ。]

Mission: Impossible-Ghost Protocol – It’s a Suitifal Lifeより引用

と貼られているらしい。

クレムリンでの早着替え

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』マイケル・カプラン私物のブルース・スプリングスティーンのTシャツ
Image:Mission Impossible/YouTube

イーサンがクレムリンから抜け出すときに、軍服からMA-1ジャケットに早着替えするときに下に着ているTシャツは、ブルース・スプリングスティーンのTシャツでカプランの私物だという。

サングラス:目元に宿る知性と闘志

イーサンが着用するアイウェアには、実用性とスタイル、そして「任務に相応しいリアリズム」が込められている。劇中で登場する2つのモデルを見ていく。

Oakley Wind Jacket

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』Oakley Wind Jacketは世界一高いビル「ブルジュ・ハリファ」をクライミングしたイーサン・ハントに最適なサングラス
Image:Mission Impossible/YouTube

Originally designed with motorcycle riders in mind, the removable gasket minimizes air flow across your eyes at high speeds, for example when your climbing the highest building in the world.
[もともとオートバイライダー向けに設計されたこの取り外し可能なガスケットは、例えば世界一高い建物に登る際など、高速走行時に目にかかる風を最小限に抑えます。]

Oakley Wind Jacket – Tom Cruise – Mission: Impossible – Ghost Protocol | Sunglasses IDより引用

サングラスと顔の間を隙間なく密着させてくれる取り外し可能なガスケットを採用したOakley Wind Jacketは世界一高いビル「ブルジュ・ハリファ」をクライミングしたイーサン・ハントに最適なサングラス。残念ながら映画で使用されたクリアレンズとクリアフレームのものは特注で同じものは手に入れることはできない。

ペルソール(Persol)

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』イタリアの高級メガネ・サングラスメーカーのペルソール(Persol)
Image:Mission Impossible/YouTube

もう1つのアイウェアとして登場するのはイタリアの高級メガネ・サングラスメーカーのペルソール。サイモン・ペッグ演じるベンジーも着用。

マイケル・カプラン自身も愛用者で、レトロな雰囲気漂うペルソールは「ミッション:インポッシブル」にぴったりだと考えた。

ファッションもミッションだ

『ゴースト・プロトコル』に登場するファッションアイテムは、どれも機能する美学に貫かれている。走って、登って、撃って、潜入して──そのすべてに耐える服とアクセサリーこそ、真のスパイの装備。

そして何より、そこには「どう見られるか」ではなく「どう在るか」という哲学が込められている。

参考資料: