「TENET テネット」を観て思ったことは「音楽かっこいい!」です。
ストーリーの面白さは当然として。
一番印象に残っている曲は「POSTERITY(YouTubeリンク)」です。
この金属に水が弾けるような音がなんだか心地よくもあり緊張感もあってすごく耳に残っています。
どんな人が作曲したのか調べてみたら、すごい人が作曲していました。
映画作曲家ルドウィグ・ゴランソン
「TENET」の音楽監督は、ルドウィグ・ゴランソンです。
彼はスウェーデン出身の映画作曲家です。
これまでノーラン作品の音楽といえば、ハンス・ジマーが作曲してきました。「ダークナイト」トリロジー、「インセプション」、「インターステラー」。
今回ハンス・ジマーは「DUNE/デューン 砂の惑星」のために作曲を断っています。
ルドウィグ・ゴランソン自身は「ブラックパンサー」、「マンダロリアン(テレビ番組)」を作曲してきているすごい人です。
「ブラックパンサー」ではグラミー賞を受賞しています。
どうやって作曲したのか
主人公の名もなき男が逆行する世界で水たまりに足をつける様子を見たとき、ルドウィグ・ゴランソンは作曲のイメージを固めたそうです。
“That image to me was so groundbreaking.
NMEより引用
It set in my mind that I wanted the music to sound like what I saw.”
直訳:「私にとってのそのイメージはとても画期的でした。自分が見たような音楽にしたいと思ったのです。」
イメージを形にするためにルドウィグは、「物事を反転させるまったく新しい方法」により作曲をしたそうです。
そのプロセスを知っても意味がわかりませんでした。
“I recorded three percussionists playing the main rhythm of the theme, then I reversed the recording on my computer,”
NMEより引用
“And I played this for the musicians and asked them to emulate the recording, which is extremely challenging for them.
But if you have incredible musicians [like mine], you can get pretty close.
So I recorded that and then I reversed it again.
大まかにいうとルドウィグ・ゴランソンは、先ず「メインのリズムを鳴らす3人のパーカッションを録音し、それをコンピュータで逆再生」させています。
その反転させた音を「ミュージシャンたちに真似して演奏してもらいその音を録音」します。
そして「その音を再びコンピュータで逆再生」させています。
クリストファー・ノーランという映画製作における天才のもとには天才が集まるということだけはわかりました。
こうしてルドウィグ・ゴランソンは、「反転した音楽」を実現しています。
エンディングに流れる主題歌もかっこいい
劇中の音楽とうまく融合したエンディングに流れる主題歌は「The Plan」です。
ルドウィグ・ゴランソンとラッパーのトラヴィス・スコットとの共作です。
めちゃくちゃ羨ましいのは、「The Plan」を製作するにあたりトラヴィス・スコットは「TENET」を世界で最初に観た人のひとりになったことです。
それでもエンディングに流れる主題歌を聴けばそれも納得です。
トラヴィス・スコットはアルゴリズムを奪い合うトラックのカーチェイスシーンで流れる「TRUCKS IN PLACE」をもとに「The Plan」を製作しています。
「TRUCKS IN PLACE」はこちら(YouTubeリンク)
主題歌「The Plan」はこちら(YouTubeリンク)
逆行シーンには逆再生
「TENET」を3回観て逆行シーンでは、音楽も逆再生されていることがわかりました。
「TENET」は順行と逆行を赤と青で区別しています。
赤色が映像に出ているときは通常の音楽が流れいます。
さらに青色が出てくる逆行のシーンでは音楽も逆再生のように聞こえるものが流れていることに気が付きました。
何周もテネる方は映像だけでなく「音」にも集中してみてください。
こうしてサントラを聴いているとまた「TENET」が観たくなってきました。
ちなみにルドウィグ・ゴランソンは作曲するにあたり、「TENET」を50回は観たそうです。