Image: Sony Pictures Entertainment / YouTube
意外と過去作とそんなに変わらないんですよね。
シリーズの流れであるリブート作品としての評価と、そんな一連の流れとは関係なく独立した作品としての評価とで意見が分かれているように感じます。
単独作品としての評価
Amazonや映画.comでのレビューをみると、実は総合としてはどちらも星3.9と星3.4とそこまで低くはありません。1作目のレビューがAmazonでは4.2と差がありますが、映画.comだと3.4と実は同じだったりします。
もちろん好みもあるので面白いという人もいれば、つまらないという人もどちらもいるのは仕方ありません。それでもつまらない派のひとたちのレビューをみると、一定の傾向があります。
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まず過去作とは違い本作は全員女性をメインにしているという点です。加えてその吹き替えをお笑い芸人さんがしていることにも引っかかっているようです。メインキャストが全員女性であることは、ポール・フェイグ監督も「いま面白いと思う人を集めたらそうなった」と言っています。
本作で主人公を演じたメリッサ・マッカーシーやクリステン・ウィグも参加した、フェイグ監督の過去作「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」や「デンジャラス・バディ」を知ると、女性キャストにはなんの違和感もなかったりします。
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ただそれを純粋に面白さにつなげることができていなかったことが、否定的な意見につながっていると考えられます。SFコメディであるゴーストバスターズにおける面白さも、本作ではうまく描けていなかったことが、数々のレビューから読み取れます。本作に出てくるコメディ部分、いわゆる監督が狙って演出した笑える部分は説明的すぎる気もします。そこも素直に笑いづらい部分かもしれません。
そもそものゴーストバスターズの面白さ
Image: Ghostbusters/YouTube
それでは過去シリーズではそんなに笑えたのかというと、そうでもありません。しかしもう少しさりげないと言いますか、自然な流れでおかしなコメディ部分が演出されていました。ダン・エイクロイドやハロルド・ライミス演じるレイとイゴンは、めちゃくちゃゴーストオタクです。その二人が周りが見えなくなるくらいゴーストの研究にのめり込むあまり、第三者からは笑えるという構図です。
またビル・マーレイ演じるピーターは女好きで軽くて皮肉屋な性格です。そんなピーターがシガニー・ウィーバー演じるディナを口説こうとしたり、ゴーストバスターズのメンバーにも、ときにはゴーストにも軽口を叩く姿が面白かったりします。
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そもそもゴーストバスターズの何が面白いかと考えると、ほどよいコメディ、ほどよいSFそして当時のニューヨークっぽさみたいなとこじゃないかと思います。レイとウィンストンが乗ったECTO-1が、橋を渡る姿を空撮したシーンは、当時じゃないと出せない味わいがあります。
リブート作品としての評価
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映画レビューサイトといえばアメリカのRotten Tomatoes(ロッテン・トマト)です。ロッテン・トマトが認証している批評家からの評価(トマトメーター)は、74%が肯定的という高い評価になっています。大まかにまとめると過去作からうまくリブートしているとされています。
そもそも本作は2008年ごろから話が出ては消えていた「ゴーストバスターズ3」をなんとか形にしたものでもあります。当初は「ゴーストバスターズ2」からの続編として製作される計画が、進めば進むほどビル・マーレイが辞退を発表したりと、なかなか上手く進まなかったプロジェクトです。
そこにハロルド・ライミスさんの訃報が決め手となり、アイヴァン・ライトマン監督は辞退し、一度は完全にストップしました。そこから監督がポール・フェイグに決まり、脚本も続編ではなくリブート作品として変わり、2016年にようやく完成します。
こんなに紆余曲折を経て作られた作品がロッテン・トマトでフレッシュ認定を受けていることは、かなりの成功といえます。フレッシュ認定は一定期間、一定数の肯定的な評価を受けた作品に与えられます。
約30年ぶりの新作、本作で初めて「ゴーストバスターズ」を観て、ファンになった人もいるというところに意味のある作品だと思います。
ゴーストバスターズ (字幕版)
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