「キングスマン:ファースト・エージェント」のラスプーチンを演じているのは、イギリス出身の俳優リス・エヴァンスです。
インタビューでもおちゃめな姿をみせるエヴァンスが、初めて注目されたのは「ツイン・タウン」(1997)。1997年にギルドホール音楽演劇学校を卒業し、実の弟リルと共演した作品です。リス・エヴァンスは演劇学校でのトレーニングから言葉がもつ力の大きさを実感し、この経験は演じたラスプーチンに通じています。
これまでのキャリア
「ツイン・タウン」のあと、「ノッティングヒルの恋人」(1999)にて、ヒュー・グラント演じるウィリアムのコミカルな同居人、スパイク役で英国アカデミー賞にノミネートされ、世界的に知られました。その後も順調にキャリアを重ねていき「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」(2010)では、ゼノフィリウス・ラブグッド役で出演しており、髭がない姿は新鮮です。
直近の仕事では「House of the Dragon(原題)」への出演が決まっており、相変わらず大忙しの様子。「[House of the Dragon]」はHBOが2022年の公開を目指している「ゲーム・オブ・スローンズ」の前日譚を描くTVシリーズです。
影響を受けたできごと
エヴァンスが通っていたギルドホール音楽演劇学校は、ジュディ・デンチやレイフ・ファインズを輩出したロイヤル・シェイクスピア・カンパニーと提携しています。そのおかげでパッツィ・ローデンバーグという優秀なボイストレーナーに指導を受けることができたそう。
そこでエヴァンスはシェイクスピアによる戯曲「リチャード三世」のスピーチをしたとき、言葉のもつ力を実感したと The Wrap にコメントしています。
And suddenly, just in this one session, I spoke the words, and it moved me so deeply and opened me up so much as an actor. The sense of how words can liberate the body. That might sound highfalutin, but it really did.
Rhys Ifans on ‘Anonymous’: ‘A Relief to Be Fully Clothed, for Once’/The Wrap より引用
それが突然、この1回のセッションで言葉を発したことで、私は深く感動し、役者として大きく開かれていったのです。言葉が身体を解放するという感覚です。偉そうなことを言っていますが、本当にそうでした。
卒業して14年後の2011年、ローランド・エメリッヒ監督作「もうひとりのシェイクスピア」でオックスフォード伯爵を演じ、スピーチのトレーニングをしたときに感じたことの答えをみつけた感覚になったそうです。
ラスプーチンはリス・エヴァンスの集大成
「キングスマン:ファースト・エージェント」でエヴァンスが演じたのは、ロシアの怪僧ラスプーチン。当時のロシア皇帝を思うままに操っていたとして、さまざまな作品に悪役として登場するキャラクターです。
実際のラスプーチンは無学ながら熱意により人々を魅了し、最終的にロシア皇帝の政策に介入できるほどの影響力を持ちました。役者として言葉がもつ力を信じるエヴァンスと独学で聖書を理解し皇帝に受け入れられたラスプーチン。ラスプーチンはリス・エヴァンスのこれまでの役者としての経験すべてが活かされたキャラクターだと感じます。