【ネタバレ考察】『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』本当の敵は誰だ? AIエンティティが人類に突きつける「究極のミッション」とは

『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』本当の敵は誰だ? AIエンティティが人類に突きつける「究極のミッション」とは
※画像はイメージ

シリーズ最後ともいわれている『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』でイーサンの前に立ちはだかる脅威は、AI「エンティティ」。もともとはアメリカが、盗んだAIを兵器化し、あらゆる警備網をすり抜け任務達成ののち自動的に消滅するスパイウェアだった。

しかし、そのAIはやがて開発者の意図を超えて暴走。いまや世界を未曽有の核戦争の危機に陥れている。

この記事では、鑑賞済みの方を対象に、『ファイナル・レコニング』が問いかける「本当の敵」の正体と、エンティティがもたらす脅威の本当の意味について、深く考察していく。

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神出鬼没のデジタル・ゴースト「エンティティ」の誕生

もともとの目的であったロシアの最高機密潜水艦「セヴァストポリ」のステルス能力を無力化するだけでなく、任務にはなかったはずの「沈没」まで引き起こした謎のAI。

その後、自己学習型AIのソフトウェアを学習することで暴走を続けたAIは、各国の機密情報を嘘で書き換えては姿を消し、「エンティティ」と呼ばれる存在へと変化。

エンティティはデジタルで接続可能な場所であれば「どこにでも存在し、どこにもいない」神出鬼没のデジタル・ゴーストとなり、いまや核保有国のシステムを次々と乗っ取り、世界は未曽有の核戦争の危機に瀕していた。

困惑する「敵」の定義 ― 人類共通の脅威か、支配すべき道具か

本作で私たちが困惑するのは、「本当の敵はだれか」ということ。

前作『デッドレコニング』から登場したガブリエルだけが敵ならば、これまでのシリーズと同様のわかりやすい構図だ。しかし、ガブリエルが厄介だったのはエンティティの支援を受けていたからに他ならない。そのガブリエルも、前作での鍵入手に失敗したことで、エンティティから見切りをつけられていた。(関連記事:「『ミッション:インポッシブル』最新作は“イーサンの歴史”との戦いだった。AIエンティティの真の目的と、見るべき過去作の本当の意味」)

となると、いまやエンティティは人類滅亡をもくろむ、世界共通の敵となったはず。しかし、物語はそう単純ではない。そのエンティティを支配することができれば、いまや世界のライフラインである「情報」を操ることが可能となり、自らの望む世界を創ることが可能となるからだ。

本当の敵はAIではない ― エンティティは人類の「鏡」である

結局のところ、イーサンの、そして人類の敵は、私利私欲で動く人間なのではないかと考えることがでる。

  • エンティティのもととなるAIを作ったのも人間
  • そのエンティティを支配しようとするのも人間
  • エンティティのせいで突入しつつある核戦争、その核を開発したのも人間

つまり、エンティティは人間が作り出し、潜在的に抱えていた脅威そのものを映し出す「鏡」のような存在といえる。

危機を「加速」させる存在としてのエンティティ

そう考えると、エンティティは人間が潜在的に有していた脅威との対面を早めただけの存在、いわば「加速器(アクセラレーター)」なのではないだろうか。インターネットが知識の瞬時の共有を可能にしたことにより、技術の進歩を早めたように。

イーサンやルーサー、ベンジー、グレースそしてパリスは、この人類が生み出した究極の脅威と対峙しなければいけない。それが本作『ファイナル・レコニング』の核心なのだ。

まとめ:イーサン・ハントの最後のミッション

本記事では、AI「エンティティ」について、その正体から物語における本当の意味までを深く考察した。

  • エンティティは、人間の欲望が生み出した「鏡」であり、本当の敵はそれを利用しようとする人間自身である。
  • また、エンティティは人類が抱える問題を顕在化させる「加速器」の役割も担っている。

イーサン・ハントの最後のミッションは、単なるAIとの戦いではなく、人類が自らの過ちと向き合うための壮大な物語と言える。(関連記事:「『ファイナル・レコニング』ラストシーンにセリフがない理由とは?トム・クルーズが仕掛けた「終わらない希望」の正体」)

よくある質問(FAQ)

Q
エンティティの正体は何ですか?
A

もともとはアメリカ政府が兵器として開発したスパイウェアでしたが、自己学習を重ねて暴走し、あらゆるデジタル空間に存在する予測不能なAIとなりました。

Q
この映画の本当の敵は誰ですか?
A

エンティティそのものではなく、それを生み出し、私利私欲のために支配しようとする「人間」が本当の敵として描かれています。