
ホワイト・ウィドウは『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』でも登場する。前作『フォールアウト』で初登場してからずっとイーサンだけでなくファンの心も弄ぶキャラクターだ。
SNSでもウィドウのキャラクターに好意的な意見や何が目的の人物なのかつかみづらい、ミステリアスな人物として言及されている。明確な敵でもなく、言ってみればサブキャラのような存在でここまで観客の印象に残るキャラクターは唯一無二だといえる。
今回の記事では、ホワイト・ウィドウの目的、何がそう魅力的に思わせるのか、そして演じているヴァネッサ・カービーの演技について深掘りしていく。この記事を読めば、ホワイト・ウィドウの謎が解け、続編を10倍楽しめるようになる。
誰もが認める圧倒的魅力 – ヴァネッサ・カービーの完璧な演技

ホワイト・ウィドウというキャラクターの前に、演じたヴァネッサ・カービー本人に対して称賛の声が集まっている。
妖艶さと威圧感を両立させる美しさ
『フォールアウト』でのそのつかみどころのないミステリアスな存在感を、見事に演じきった美しさが話題となり、本作『デッドレコニング PART ONE』ではそのキャラクターに合った妖艶さにさらに磨きがかかっている。
ヴァネッサ本人が語る「遊び心」ある役作り
I wanted to just try and capture the essence of what she had done
出典:Vanessa Kirby on bringing “The White Widow” to life in “Mission: Impossible — Dead Reckoning Part One” – CBS News 2025年6月16日閲覧
[私はただ彼女がやったことの本質を捉えようとしたのです]
静かに相手の心を見抜き、時には荒々しく相手を威嚇するオーラをまとうこのキャラクターを遊び心をもって演じたと語っている。
【撮影秘話】あのマスクシーンの驚くべき舞台裏
ちなみにグレースがウィドウに変装するためのマスクを用意しているとき、マシンにできあがったマスクは本当にヴァネッサ・カービーの顔で撮影が行われいると、『ローグ・ネイション』(2015)から『ミッション:インポッシブル』シリーズの編集をしているエディ・ハミルトンが明かしている。
She’s keeping her eyes sharp, and the VFX team put the edge of the briefcase in across her neck and painted her out of the shot.
出典:Mission Impossible 7: Vanessa Kirby and Hayley Atwell Talk Mask Scene 2025年6月16日閲覧
[彼女は鋭い目を保っていますが、VFXチームはブリーフケースの端を彼女の首に当てて、彼女を画面から消しました]
『フォールアウト』から進化した”人間味”
『フォールアウト』ではすべてを手のひらの上で操ろうとする面が強かったが、『デッドレコニング PART ONE』ではAIエンティティによる脅威から自分の命を守るためと息を荒くする、より一歩踏み込んだキャラクター性がみえた。
【最重要考察】ホワイト・ウィドウの真の目的は?敵か、味方か、それとも…

ホワイト・ウィドウについて最も気になるのは、彼女が何の目的で動いているのかということだ。
伝説の武器商人マックスの娘、その野心とは
前作『フォールアウト』でホワイト・ウィドウ(本名:アラナ・ミッツォポリス)は、1作目『ミッション:インポッシブル』(1996)に登場した武器商人マックスの娘であることが判明した。さらにウィドウは自身でも国際的な地下犯罪ネットワークを運営している。
単独の犯罪組織としてだけでなく、政府とのつながりももつなどその行動からは母親マックスを超える野心がうかがえる。『デッドレコニング PART ONE』では冒頭でイーサンを翻弄する泥棒の、グレースの雇い主として登場する。
最優先はビジネスから自己保身へ?AIエンティティという脅威
ウィドウはエンティティを支配できる鍵を入手し、その鍵を自身の身を守ってくれる相手に売り渡す計画をしていた。『フォールアウト』ではビジネス優先にみえても、イーサンとの関係も重視していたが、本作では自身の身の安全を最優先にするほどエンティティに脅威を感じている様子がわかる。
イーサンとの奇妙な共犯関係、その終焉
カービーはウィドウとイーサンとの関係を次のように語っている。
We always like the idea that there’s a recognition between them of being from completely different worlds and having completely different pressures on them, but somehow understanding each other.
出典:Pom Klementieff & Vanessa Kirby On Unique Characters In Mission: Impossible – Dead Reckoning 2025年6月16日閲覧
[全く違う世界から来た二人が、全く違うプレッシャーを抱えながらも、お互いを理解し合っているという設定は、私たちにとっても魅力的です。]
『フォールアウト』から続いていた奇妙なイーサンとの関係も、『デッドレコニング PART ONE』では断ち切ってしまうほどの恐怖が世界に迫っていることが伝わってくる。
物語のキーパーソンとしての役割
ストーリーの面から考えると、グレースが活躍するうえでウィドウは重要な存在となっている。クライマックスでのオリエント急行での誰が味方で、誰が敵なのか複雑に絡み合う展開は、ホワイト・ウィドウなしでは成り立たない。
ホワイト・ウィドウはエンティティの脅威を感じさせることと、ラストの複雑なストーリー展開ということで重要な役割を担っている。
出番が少ない?ファンの「物足りなさ」が意味するもの
ファンから挙がる「もっと彼女を観たかった」の声
これだけ魅力的なキャラクターでありながら、ウィドウの出番が少し少なく感じるという不満もあげられる。それだけ印象に残るキャラクターだということだが、この物足りなさに意味はあるのか。
計算された”不在”が生み出す圧倒的な緊張感
もし今回の敵であるガブリエルのようにストーリーの大半にウィドウが登場していたら、ここまでシーンに緊張感をもたらすキャラクターにはなっていなかっただろう。(関連記事:「【考察】『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』のガブリエルとは何者か?強さの秘密とイルサ殺害の”本当の理由”」)
イルサ…失われた関係と新たな関係

『フォールアウト』では男女の関係という単純なものではないが、ウィドウの登場はイルサとイーサンとの関係に緊張をもたらした。本作『デッドレコニング』ではイルサの退場という衝撃の展開が待っていた。
衝撃のイルサ退場がもたらしたパワーバランスの変化
イルサがいなくなったことにより、ウィドウとイーサンとの関係はどう変化するのか。以前ホワイト・ウィドウという名前は「ブラック・ウィドウ(クロゴケグモ)」からきており、イーサンを愛しもするし破滅をもたらしもするのではないかという考察をした。(関連記事:「謎多き『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』のホワイト・ウィドウの魅力と正体を徹底解説!」)
本名で呼んでも届かない…イーサンとのミステリアスな関係の結末
今回ウィドウはイーサンから何度も本名「アラナ」と呼ばれても、エンティティを利用して自分を守る立場を選択した。これでふたりのミステリアスな関係は完全に絶たれたと考えられる。
次世代ヒロイン、グレースへの布石としての役割
しかしウィドウとの関係性の一連の流れがあったおかげで、グレースとの師弟関係のような新たな関係がスムーズに構築され、強力な仲間になることへの期待感が増すこととなる。
シリーズでのホワイト・ウィドウという存在
味方でもないが完全に敵というわけでもない。ホワイト・ウィドウは『ミッション:インポッシブル』シリーズに突然現れ、イーサンの選択に重みを与えてくれた貴重なキャラクターだ。彼女の存在そのものが、イルサの喪失とグレースの台頭という、物語の重要な転換点に深く関わっていた。
彼女は単なるサブキャラクターではない。予測不可能な世界の象徴であり、窮地に立つイーサン・ハントの決断や人間性を鋭く映し出す「鏡」のような役割を担っていた。『デッドレコニング PART ONE』の物語に、彼女が深みと重みを与えたひとりだったことは、間違いない。
まとめ:ホワイト・ウィドウの魅力と謎をおさらい
最後に、この記事の要点を「2つのポイント」と「よくある質問(FAQ)」でまとめる。忙しい方や、内容をもう一度おさらいしたい方は、ぜひこのセクションを活用してほしい。
この記事の2つのポイント
- 圧倒的な魅力の正体: ホワイト・ウィドウの魅力は、演じる俳優ヴァネッサ・カービーの妖艶かつ威圧的な演技力と、敵か味方かわからない「謎めいたキャラクター性」が完璧に融合している点にある。
- 物語の転換点を生む役割: 彼女の目的は自己保身とビジネスだが、その行動が結果的にイルサの退場やグレースの成長といった、物語の重要なターニングポイントを生み出す引き金となった。
ホワイト・ウィドウに関するFAQ
Q1. ホワイト・ウィドウの正体と、今作での目的は何ですか?
A. 彼女の正体は、1作目に登場した伝説の武器商人マックスの娘「アラナ・ミッツォポリス」です。『デッドレコニング PART ONE』での表向きの目的は、AIエンティティの脅威から自身の身を守り、鍵を取引して利益を得ることでした。しかし、その根底には母親を超える野心も垣間見え、単純な敵でも味方でもない複雑な立ち位置のキャラクターです。
Q2. ホワイト・ウィドウを演じている俳優は誰ですか?
A. 英国の俳優ヴァネッサ・カービー(Vanessa Kirby)です。彼女の気品と力強さを兼ね備えた演技が、キャラクターに圧倒的なカリスマ性を与えていると高く評価されています。ドラマ『ザ・クラウン』でのマーガレット王女役や、映画『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』などでも知られています。
Q3. ホワイト・ウィドウは続編にも登場しますか?
A. 公開された続編『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』には、回想シーンでしか登場しません。撮影自体は行われたようですが、最終的にカットされています。ウィドウの役割は『デッドレコニング』で完結したと考えられます。