Image: HAMNET – Official Trailer [HD] – Only In Theaters This Thanksgiving – YouTube 2026年4月12日閲覧 11歳にして世界中の観客を号泣させた「100万人に1人の逸材」、ジャコビ・ジュプ。
すでに本作を観て、彼(ジャコビ)の演技に心を奪われた方も多いのではないだろうか?
映画『ハムネット』で主人公アグネスの息子ハムネットを演じたジャコビ・ジュプの演技が、世界中で大きな注目を集めている。彼の演技は、一般的な子役には見られないような深い感情を表現していると高く評価されている。原作者のマギー・オファーレルも、困難なシーンを何度も演じ切った彼を「100万人に1人の逸材」と称賛している。
では、彼はどのようにしてこの重要な役を掴み取ったのだろうか。その裏側には、本作のプロデューサーを務めるスティーヴン・スピルバーグが関わった特別なオーディションテストが存在した。さらに、そのテストにおいてジャコビが見せたある行動は、彼が単に演技の技術に優れているだけでなく、他者を深く思いやる心を持っていることを証明するものだった。
本記事では、彼が役を勝ち取ることになったオーディションの詳細な内容や、その背景にある事実について解説していく。
スピルバーグが提案した過酷な「E.T.テスト」
Image: Hamnet Wins Best Picture – Drama | 83rd Annual Golden Globes – YouTube 2026年4月12日閲覧 本作のプロデューサーである巨匠スティーヴン・スピルバーグが、子役の真の感情を引き出す伝説の「E.T.テスト」を提案した。
ハムネット役の選考は、長い時間をかけて慎重に行われた。
巨匠直伝!『E.T.』で使われた伝説のオーディション手法
最終的なキャスティングにあたり、クロエ・ジャオ監督に特別なオーディションの手法を提案した人物がいる。それは、本作のプロデューサーの一人であり、映画界の巨匠であるスティーヴン・スピルバーグだ。
彼が提案したのは、自身の代表作『E.T.』の子役オーディションで実際に使われた手法である。それは、子どもたちに対して「あなたの人生から、大切な人が奪われようとしている」という過酷な状況を想像させるものだった。大切なものを強制的に失う悲しみと向き合わせるこのテストは、子役の奥底にある真の感情を引き出すための伝統的なアプローチであった。
監督が試したのは「演技力」ではなく「純粋な存在感」
ジャオ監督は、最終候補に残ったジャコビ・ジュプを含む子役たちに対して、この「E.T.テスト」を実施した。彼女の目的は、子どもたちが頭で考えた「正しい演技」や、キャラクターの賢い解釈を披露できるかどうかを見ることではなかった。
オーディション中、監督はあえて子役たちに意地悪な言葉を投げかけるなどして、予期せぬ状況を作り出した。計算された演技を崩し、カメラの前でどれだけその瞬間に没入できるかを見極めようとしたのである。ジャオ監督は、子役に求めていた資質について次のように語っている。
子役に求めるのは、純粋な存在感です
監督・製作総指揮・脚本・編集 クロエ・ジャオChloé Zhao on Crafting Hamnet: Channeling Grief, Nature, and Creative Surrender – Ikon London Magazineより引用 2026年4月12日
キャラクターの感情を論理的に説明させるのではなく、まるで現実のような環境を作り出し、その場に本物の感情をもって「存在」できるかどうかが、このテストにおける最大の評価基準だった。
監督を「即決」させた、号泣直後の驚くべき一言
Image: Building Hamnet: Designing Chloé Zhao’s Cinematic World | Reel Destinations – YouTube 2026年4月12日閲覧 自分が泣きじゃくった直後にもかかわらず監督を気遣う優しさを見て、ジャオ監督は「採用」を即決した。
過酷な「E.T.テスト」によって、ジャコビは実際に涙を流してしまった。しかし、本当に周囲を驚かせたのは、テストの直後に彼がとった行動だった。
傷ついた直後に見せた、他者への本気の気遣い
休憩中、まだ感情が揺さぶられているはずの彼がジャオ監督の元へ歩み寄り、次のように声をかけたのである。
彼は何かの合間にやって来て、「やあ、クロエ」と言った。私は「何?」と答えた。彼は「コロナにかかったって聞いたけど、もう大丈夫?」と言った。私は「ええ」と答えた。すると彼は「うん、コロナは治るのに時間がかかるからね」と言った。
クロエ・ジャオAwardsWatch – Interview: How Chloé Zhao and Jessie Buckley Gave Life and Agency to ‘Hamnet’ and Agnesより引用 2026年4月12日
自分が厳しいテストを受けて傷つき、泣き出してしまった直後であるにもかかわらず、彼は監督の体調を本気で気遣う優しさを見せたのだ。
劇中の「ハムネット」と完全にシンクロした瞬間
この行動を見たジャオ監督は、その場ですぐに「採用」と心を決めたという。なぜなら、ジャコビのその姿が、劇中のハムネットというキャラクターそのものだったからだ。
監督は、彼を採用した理由についてこう分析している。
ハムネットはそういう人だからね。ハムネットは… 彼は世界の重荷を背負っていると感じている。父親がいないから
クロエ・ジャオAwardsWatch – Interview: How Chloé Zhao and Jessie Buckley Gave Life and Agency to ‘Hamnet’ and Agnesより引用 2026年4月12日
大きなものを背負いながらも、他者への深い思いやりを忘れない。そのハムネットの魂とジャコビ自身の魂が、オーディションの場で完全に重なり合った瞬間だった。彼がこの大役を掴み取った最大の決め手は、計算された演技力ではなく、彼自身が持つ「純粋で優しい存在感」だったのだ。
【胸熱】ポール・メスカルとのアドリブが「本編の台本」を変えた!
Image: HAMNET – Official Trailer [HD] – Only In Theaters This Thanksgiving – YouTube 2026年4月12日閲覧 オーディションでのポール・メスカルとのアドリブのやり取りが、映画本編の感動的な親子の別れのセリフとして採用された。
ジャコビが「その瞬間に存在する力」を持っていることを証明するエピソードは、監督とのやり取りだけではない。父親であるウィリアム・シェイクスピア役のポール・メスカルと、初めて一緒にオーディションを受けた際にも奇跡的な瞬間が生まれていた。
初対面のオーディションで生まれた「勇敢になれるか?」
オーディション中、ポールはジャコビの反応を引き出すために、彼をからかってヒョイと抱き上げ、台本にはないアドリブの言葉を投げかけた。
彼を抱き上げて「勇敢になれるか?(Will you be brave?)」と言ったんです。
クロエ・ジャオAwardsWatch – Interview: How Chloé Zhao and Jessie Buckley Gave Life and Agency to ‘Hamnet’ and Agnesより引用 2026年4月12日
ジャコビはこの突発的な問いかけに戸惑うことなく見事に対応し、ポールと自然に遊び合った。二人がまるで本当の親子のようになった瞬間だった。
そのまま本編に採用された奇跡のセリフ
さらに驚くべきことに、この初対面のオーディションで生まれた何気ないやり取りは、映画本編のストーリーそのものに大きな影響を与えた。
最初の脚本を書き上げたジャオ監督と原作者のマギー・オファーレル。製作総指揮として加わっているスティーブン・スピルバーグは、その脚本を気に入ったもののメモがつけられていたという。
彼は脚本をとても気に入ってくれました。ほとんどメモはありませんでしたが、「父と息子の瞬間が欠けていると思う」と言いました。
クロエ・ジャオChloé Zhao on ‘Hamnet,’ Grief and Keeping Your Heart Openより引用 2026年4月12日
ジャオ監督は、オーディションでの二人の姿を思い出し、そのアドリブのやり取りをそのまま本編の台本に書き加えることを決断した。
父親がロンドンへ旅立つ前に息子と交わす、胸を打つ別れのシーン。その感動的なセリフが、実は二人が初めて出会ったオーディションでのアドリブから生まれていた。
※妻アグネス役のジェシー・バックリーとポール・メスカルの深い絆については、こちらの記事で解説しています:「映画『ハムネット』主演女優ジェシー・バックリーとは?天才的な役作りと経歴に迫る」
まとめ:単なる「演技の上手い子役」を超えた存在
クロエ・ジャオ監督の「子役にはただそこに存在することを求める」という言葉から、それがいかに難しいことかがわかる。ハムネットを演じたジャコビはオーディションのころから父親になるポール・メスカルと自然と触れ合うことができた。
ジャコビが観客の胸を打つ存在となったのは、演技を超えてその場に存在する、キャストと家族になる心構えができたからではないか。








