Image: Project Hail Mary – Official Trailer – YouTube
映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、単なる視覚効果重視のSF超大作ではない。キャストとスタッフは「人間的な感情(共感)」と「リアルな手触り感」を最重視したドリームチームである。
主演・製作:ライアン・ゴズリング(ライランド・グレース役)
ゴズリングは本作の製作の出発点であり、原作の原稿を読んで真っ先に映画化に向けて動いたと監督のロードとミラーはWho Let Us Outで明かした。彼が演じるライランド・グレースは、完璧な宇宙飛行士やアクションヒーローではなく、「宇宙のことはよく分からない微生物学者」としての等身大の恐怖や不器用さを表現していると、ライアン・ゴズリングは語っており、Colliderが報じている。
THE CINEMA GROUPでは初期の試写を見た批評家たちのレビューが紹介されており、彼の演技を「キャリア最高」「映画の感情的な支え」であり、オスカーの有力候補になり得ると大絶賛している。
監督・製作:フィル・ロード&クリストファー・ミラー
『スパイダーバース』(2018)や『LEGO(R) ムービー』(2014)で知られる二人は、本作を「宇宙映画ではなく、人間関係の映画」と位置付けている。
IGNが公開したインタビューで彼らは、コメディやユーモアはキャラクターへの深い感情移入があってこそ成立するというアプローチをとると語った。
また、宇宙船や宇宙空間の表現において、「洗練されたMacではなく、分解可能なPC」というコンセプトを掲げ、美しくも無骨で実用的なリアリティ(ガラスの反射やむき出しの配線など)を追求した。
脚本:ドリュー・ゴダード
原作者アンディ・ウィアーの前作『オデッセイ(原題: The Martian)』(2015年製作)の脚色も成功させたゴダードは、本作の核心を「共感」であると捉えた。
顔も口もないエイリアン(ロッキー)と主人公が対話するという「脚本家にとっての悪夢」のような設定を、相手の視点に立って想像するという共感のプロセスとして見事に描き切っている。
エイリアン「ロッキー」の表現:ジェームズ・オルティスとパペットチーム
本作の最大の挑戦であるエイリアンのロッキーは、CGだけでなく実物のパペットとアニマトロニクスを組み合わせて表現された。
伝説的なクリーチャー制作のニール・スキャンランのチームのもと、ジェームズ・オルティスが声とリードパペッティアを担当し、毎日セットでゴズリングの演技のパートナーとして直接掛け合いを行った。
これにより、主人公とロッキーの間にリアルな深い友情(ブロマンス)が生まれ、映画の最大の魅力となっている。
映像と音楽:五感を刺激するトップクリエイターの仕事
撮影監督:グレイグ・フレイザー(『DUNE/デューン 砂の惑星』)
地球と宇宙のシーンでアスペクト比を使い分け、宇宙シーンでは1.43:1のIMAXフォーマットを採用。原作者のアンディ・ウィアーが「タウ・セチ星系の自然光を活かして、美しいシーンを作り出した」と表現する、息を呑むような映像美を構築した。
作曲:ダニエル・ペンバートン
グレイスは映画の大半を宇宙空間で孤独に過ごす。そこでペンバートンは世界中が彼のミッションを応援しているという連帯感を示すため、合唱や手拍子を取り入れたとColliderが報じている。撮影前には完成前の楽曲の雰囲気がわかる譜面を共有し、ゴズリングが現場でまるで楽譜を聴いているかのように演技に没入できる環境を整えた。
脇を固める実力派と原作者の深い関与
地球側の責任者エヴァ・ストラットを演じるザンドラ・ヒュラーは、シリアスなドラマとユーモアを自在に行き来し、物語に奥行きを与えている。
また、原作者アンディ・ウィアーもプロデューサーとして深く関与。連日セットを訪れ、ホワイトボードの数式チェックからキャラクターの心理描写まで細かく監修し、科学的正確さと物語の質を担保した。
2026年最初の傑作ブロックバスター
難解な科学設定や壮大なスケールを備えながらも、その根底にあるのは「希望と友情とユーモア」である。これらの才能が結集した『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、2026年を代表する最初の傑作として、観客の心に深く刻まれることになるはずだ。




