映画『M3GAN ミーガン』ダンスシーン完全解説:楽曲・キャスト・演出の裏側まで

Image: M3GAN – official trailer – YouTube

映画『M3GAN ミーガン』において、最も観客に衝撃を与え、SNSでの爆発的な拡散の起点となったのが、廊下で繰り広げられる「ミーガンのダンス」である。

本記事では、この奇妙なダンスがどのようにして生まれたのか、楽曲の選定理由や「中の人」を務めた俳優の身体能力、そして制作の裏側に迫る。

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ダンスシーンで使用された楽曲とその由来

廊下で殺戮を開始する直前、ミーガンが踊るシーンで流れている曲は、Skatt Bros(スキャット・ブラザーズ)の『Walk the Night』である。

この楽曲が選ばれた背景には、偶然の重なりがあった。ジェラルド・ジョンストン監督が該当シーンの演出を練っていた際、ステレオから流れてきたこの曲を聴き、「ミーガンが踊る」というアイデアを閃いたという。[1]

当初から計算されていた演出ではなく、「ダンスを踊らせる」という決断が先になされた。その後、ストーリー上の整合性を保つために、「裁断機の刃を手に取る際、対象者(デヴィッド)との距離を誤魔化し、警戒心を解くためのブラフ(目くらまし)」という理由が後付けで設定された。

驚異の身体能力:演者エイミー・ドナルドの実力

多くの観客が「CGやアニマトロニクス(ロボット)」だと疑ったあの動きは、実際には当時12歳の子役、エイミー・ドナルド(Amie Donald)による実演がベースとなっている。

エイミー・ドナルドの経歴

エイミーは5歳からダンスを始め、2019年に開催されたダンスワールドカップにニュージーランド代表として出場。同大会で銀メダルと銅メダルを獲得したトップクラスのダンサーである。

キャラクターへの深い洞察

本作が演技初挑戦であったエイミーだが、単に踊るだけでなくキャラクターの背景も深く理解していた。彼女は「ミーガンが人間と過ごす時間が長くなるにつれて、その動きも次第に人間らしく変化していく」というプロセスを意識してパフォーマンスを行っていた。[2]

制作の裏側:CGと実写の融合

ジョンストン監督は、ミーガンのリアリティを追求するために、アニマトロニクスやVFX(デジタル処理)をフル活用した。しかし、同時に「俳優が実際に触れることができ、カメラが至近距離まで寄っても違和感のない高品質なパペット」という実物へのこだわりも持っていた。[3]

ダンスシーンにおいても、その方針は一貫している。

  • 振り付けの誕生: 監督が当初イメージしていたのは「シミーダンス(小刻みに揺らす踊り)」であった。しかし、エイミーと彼女のダンスコーチが提案した動きは、監督の予想とは全く異なる「奇妙でアクロバティックなもの」だった。
  • 現場での化学反応: 結果として、エイミーたちの提案が採用され、現在のアイコニックなダンスが完成した。

監督の予想を超えたものが生まれていく制作過程は、劇中で開発者の制御を離れて暴走していくミーガンの姿とも重なり、作品に独特の説得力を与えている。

まとめ:なぜ「ミーガン・ダンス」は成功したのか

「ミーガン・ダンス」がこれほどまでに注目を集めた理由は、単なるホラー映画の演出にとどまらない、以下の要素が組み合わさった結果と言える。

  1. シュールな演出: 殺戮の直前にディスコ曲で踊るという、ジャンルの枠を壊す違和感。
  2. 身体的な驚き: エイミー・ドナルドという卓越した才能による、人間離れした実写パフォーマンス。
  3. 不気味の谷の活用: 精巧なマスクを被り、視界が遮られた状態でこれほどの動きを完遂したという技術的背景。

映画本編には登場しないテイラー・スウィフトの楽曲「It’s Nice To Have A Friend」が予告編で話題を呼び、本編ではSkatt Brosの楽曲がダンスを彩る。この一連の音楽と映像のミスマッチこそが、ミーガンというキャラクターを象徴している。

参考資料

  1. M3gan interview: Gerard Johnstone on his brilliant career and creating a horror icon 2026年1月27日 参照
  2. Amie Donald 2026年1月27日 参照
  3. Building M3GAN: How Animatronics, Puppetry, VFX and a Child Actor Created a New Doll Icon That Slays 2026年1月27日 参照