【関係者が語る裏話】『プラダを着た悪魔』1&2のロケ地選定に隠されたドラマと真実

ドルチェ&ガッバーナのショーの最前列に座るミランダとナイジェル
実際のミラノ・ファッションウィークで行われた『プラダを着た悪魔2』の撮影風景。ロケ地に隠された制作陣のドラマを徹底解説!(Associated PressのYouTubeチャンネルより)
Image: ‘The Devil Wears Prada’ 2 films at Dolce & Gabbana show with Meryl Streep, Stanley Tucci – YouTube 2026年4月26日閲覧

映画『プラダを着た悪魔』シリーズのロケ地は、単なる美しい背景ではない。そこには、製作陣の苦労やキャストの思い入れが詰まっている。本記事では、キャストや監督、美術スタッフの「実際の証言」に基づき、パリ、ミラノ、ニューヨークのロケ地に隠された制作の裏側を分析する。

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パリ:予算不足と戦った1作目の過酷なロケハン(1作目)

華やかに見える1作目のパリのシーンだが、その裏側には予算とのシビアな戦いがあった。

監督が明かす「パリという言葉を口にするな」という制約

監督のデヴィッド・フランケルは、1作目制作当時の厳しい予算問題について次のように回想している。

スタジオは、予定通りに撮影が進まない私たちを非常に脅迫してきた。予算が制御不能になる可能性があった。3500万ドルでゴーサインは出たが、それで撮影できるのはニューヨークだけだ。彼らは『パリでは撮影しない。このスタジオにいる限り、パリという言葉は絶対に口にするな』と言った。

監督 デヴィッド・フランケル Simply Streep – The Meryl Streep Archives » “The Devil Wears Prada” at 20: The Filming より引用 2026年4月26日閲覧

最終的に、週末を利用した強行スケジュールでパリのロケハンと外観の撮影が行われた。しかし、予算の都合でミランダ役のメリル・ストリープをパリに連れて行くことは許されなかった。そのため、劇中でミランダがメルセデス・ベンツから降りるシーンなどは、グリーンスクリーンを使った合成や、現地の代役を駆使して撮影された。

  • アクセス: パリ市内各所(※ミランダの登場シーンはニューヨークのスタジオ等で合成・撮影された)

ミラノ:1作目の雪辱を果たした、キャストとスタッフの情熱(2作目)

1作目では予算の都合でパリでの撮影を制限された制作陣だが、2作目ではイタリアのファッションの中心地・ミラノで、最高の環境のもと撮影が行われた。この対比は、シリーズを通じて映画の進化を示している。

ガッレリア(ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア):アン・ハサウェイが震えた最高の一瞬

1作目では実現しなかった「ヨーロッパの美しい街並みに立つミランダ」の姿が、ミラノを代表する美しいアーケードでついに実現した。アン・ハサウェイは、自身の出演シーンではないにもかかわらず現場を訪れ、その時の感動をこう語っている。

今まで見た中で最も美しいショットの一つでした。最初のテイクが終わった後、メリルのところに駆け寄って「今ほど美しい瞬間はないよ」と言いました。だから、私にとって、ガッレリアで映画を撮り終え、メリル・ストリープが最高の演技でミランダ・プリーストリーを演じている姿を皆が見ることができたあの瞬間は、間違いなくイタリアでの最高の瞬間でした。

アンドレア(アンディ)・サックス役 アン・ハサウェイ PRODUCTION NOTES より引用 2026年4月26日閲覧
  • アクセス: Piazza del Duomo, 20123 Milano MI, イタリア(プラダの旗艦店が2店舗存在する象徴的なスポット)

ブレラ美術アカデミー:プライバシー保護が生んだランウェイ

劇中のファッションショーの舞台として、ミラノの由緒ある美術学校が選ばれた。プロダクションデザイナーのジェス・ゴンコールは、ロケ地選定の裏話を次のように明かしている。

「ランウェイ」のファッションショーは、ミラノにある美術学校、ブレラ美術アカデミーで行われた。当初はドゥオーモ前で撮影される予定だったが、キャストとスタッフのプライバシーが確保できるという理由(そしてあるカメオ出演を秘密にしておくため)から、最終的にブレラ美術アカデミーが選ばれた。

プロダクションデザイナー ジェス・ゴンコール PRODUCTION NOTES より引用 2026年4月26日閲覧
  • アクセス: Via Brera, 28, 20121 Milano MI, イタリア

コモ湖のヴィラ・バルビアーノ(Villa Balbiano):ベンジーの拠点に施された魔法

ミラノ郊外の美しい湖畔のヴィラは、新キャラクターであるベンジーの拠点として使用された。ただ場所を借りるだけでなく、美術スタッフによる細やかな手が加えられている。ゴンコールはこう語る。

撮影のために芝生と彫像庭園を新たに設営した

ジェス・ゴンコール PRODUCTION NOTES より引用 2026年4月26日閲覧
  • アクセス: Piazza Cardinale Durini, 22010 Ossuccio CO, イタリア(コモ湖畔の歴史あるリゾートヴィラ)

ニューヨーク:象徴的な空間の復活と、新たなる豪邸(1・2作目)

1作目と2作目をつなぐニューヨークでは、お馴染みの場所への帰還と、新たなロケーション探しの苦労があった。

マグロウヒル・ビルディングなど「ランウェイ」の世界を形作る「3つの続投スポット」

ジェス・ゴンコールは、1作目から引き続き登場する3つの重要なロケ地について、次のように事実を述べている。

その他のニューヨークのロケ地としては、「ランウェイ」のガラパーティーの会場となったアメリカ自然史博物館の外観、前作同様、架空の巨大出版社エリアス・クラークのロビーとして使われたマグロウヒルのロビー、そして前作に登場し続編でも再び使われたアッパー・イースト・サイドのタウンハウスなどが挙げられる。

PRODUCTION NOTES より引用 2026年4月26日閲覧
  • アクセス:
    • マグロウヒル・ビルディング:1221 Ave of the Americas, New York, NY 10020 アメリカ合衆国
    • アメリカ自然史博物館:200 Central Prk W, New York, NY 10024 アメリカ合衆国
    • ミランダのタウンハウス:129 E 73rd St, New York, NY 10021 アメリカ合衆国

ビリー・ジョエルの豪邸(ロングアイランド):大抜擢された理由

2作目の新キャラクターであるサシャ・バーンズの巨大な邸宅について、ゴンコールは理想的な場所を見つけ出した経緯を明かしている。

映画の中ではサシャ・バーンズの広大な邸宅はバーモント州にある設定だが、実際にはニューヨーク市に近い場所が見つかった。それは、ロングアイランドのオイスターベイにあるビリー・ジョエルの26エーカーの豪邸で、製作準備が始まった時点で売りに出されていた。ミランダ・プリーストリーのハンプトンズの家は、そこから数軒離れたセンターアイランドで撮影された。

PRODUCTION NOTES より引用 2026年4月26日閲覧
  • アクセス: Oyster Bay, Long Island, New York(※私有地のため見学不可)

まとめ:スクリーンに映らない情熱が名作を作る

1作目では、予算の壁によってパリでの撮影が大きく制限された。しかし、2作目のミラノでは、キャスト自身が「最も美しい」と絶賛するほどの一瞬をカメラに収めることができている。

映画に登場する美しいロケ地の数々は、予算の制約を乗り越えた監督の執念や、プライバシーを考慮した美術スタッフの機転、そしてキャスト同士の深い尊敬の上に成り立っている。次に映画を観る際や、実際にその場所を訪れる際は、この「関係者たちの裏話」を思い出すことで、作品への愛着がさらに深まるだろう。

美しいロケ地に加えて、より見どころであるファッションの着こなしについてはこちらの記事:「【衣装解説】『プラダを着た悪魔2』の劇中ブランドを徹底解剖!アンディがヴィンテージを愛する理由とは?