Image: Masters of The Universe – Official Trailer / YouTube 2026年5月31日閲覧 魔法とテクノロジーが交差する惑星エターニアの中心であり、深い歴史と秘密を秘めた「グレイスカル城」。
実写映画化された『マスターズ・オブ・ユニバース』をみて、「なぜ剣と魔法のファンタジーのような世界に、レーザー銃や宇宙船が出てくるのか?」と疑問に思う人は多いだろう。一見するとメチャクチャなこの世界観には、実は深い歴史と制作陣の強いこだわりが隠されている。本記事では、グレイスカル城や「崩壊の剣」の歴史から、魔法と科学が共存する理由まで、本作の世界観を徹底解説する。
剣とレーザー銃が共存する世界?制作陣が抱きしめた「本来のバカバカしさ」
Image: Masters of The Universe – Official Trailer / YouTube 2026年5月31日閲覧 剣と魔法の世界にレーザー銃やサイボーグが入り混じる。制作陣があえて愛し、忠実に追求した「本来のバカバカしさ」が本作のアイデンティティだ。
科学と魔法の驚くべきマッシュアップ:トラヴィス・ナイト監督が語る作品の核
本作の世界観は、野蛮人、ロボット、レーザー銃、宇宙船、そして斧を持った男たちが入り混じるクレイジーな組み合わせで構成されている。
エンタメ情報サイト「Animation World Network」のインタビュー記事によると、アニメシリーズの製作総指揮を務めるロブ・デヴィッドは、本作の神話について、科学、ファンタジー、魔法、テクノロジーが驚くべき形で混ざり合ったマッシュアップであると定義している。
また、エンタメ誌「Empire」のインタビュー記事によると、メガホンをとったトラヴィス・ナイト監督は、80年代に初めて本作を見た際に感じたこの特異な組み合わせこそが美徳であり、本作のトーンの核であると自身の解釈を語っている。さらに監督は、映画・エンタメ情報メディア「Fandango」のインタビュー動画に対し、今回の実写映画においてもその「本来のバカバカしさ」から逃げることなく、むしろそれを抱きしめるようにして現代の観客に提示していると明言した。
剣と魔法のファンタジーにレーザー銃や宇宙船が出てくるのは、単なる設定の破綻やノイズではない。制作陣があえて愛し、現代の映画にもそのまま取り入れた作品のアイデンティティそのものなのだ。この「なんでもあり感」を肯定することで、おもちゃから誕生したヒーマンの世界観を忠実に実写映画に再現することに全力を注いでいることがわかる。
「テクノロジーvs魔法」の深い歴史。グレイスカル城と「崩壊の剣」の秘密
Image: Masters of the Universe | First Look – Featurette / YouTube 2026年5月31日閲覧 古代の魔法を守るための安全装置として創り出された「パワーソード」。その裏にはテクノロジーとの激しい戦いの歴史がある。
そもそも「崩壊の剣(The Sword of Flaws)」とは、コミックシリーズで展開されたストーリーラインであり、作中において遠く離れたエターニアの山脈に出現した「もう一つのさらに邪悪なパワーソード」のことを指している。ヒーマンが振るう本来のパワーソードと対をなすこの不吉な剣が現れたことで、主人公たちは剣の過去を調査することになる。そしてルーツを探るうちに、パワーソードの秘密が「プレエターニア」と呼ばれるグレイスカル城の創設期にまで遡ることが判明したのだ。
プレエターニアの危機とパワーソードの誕生:神話が語る大いなる戦い
前段で触れた科学と魔法の混在は、決して制作陣の単なる思いつきではない。その裏には、「テクノロジーが魔法を脅かす」という古代の歴史に裏打ちされた深い設定が存在している。
グレイスカル城が建つ前の時代である「プレエターニア」において、強大な指導者たち(Quadrant of Powers)は、近い将来テクノロジーが魔法を凌駕するかもしれないという強い危機感を抱いていた。そこで古代の魔法の力を守るため、「グレイ」という名の見習いが雇われ、強固な要塞であるグレイスカル城が建設されたのだ(Looper経由)。
さらにグレイは、万が一グレイスカルの守護者が悪に染まってしまった場合の安全装置として、魔法の力とバランスをとるための剣「パワーソード」を創り出した。グレイ自身は無能力な青年であったが、この剣を通じて魔法の力を流し込むことで、現在のヒーマンの祖先または子孫とも言われる強力な戦士「ヒーロー(He-Ro)」へと変身を遂げる。そして、その魔法の力を奪おうと目論むスネークメンとの間で、「大いなる戦い(Great Wars)」が勃発したという激しい歴史がある。
主人公アダムが振るうパワーソードや、物語の中心となるグレイスカル城が誕生した背景には、祖先たちが繰り広げた壮絶な戦いの伝承が隠されている。一見すると支離滅裂なB級ファンタジーに見えるエターニアの世界は、実はテクノロジーと魔法の対立を描いた、緻密で重厚な歴史ファンタジーなのだ。
単なる異世界ではない。新生『マスターズ』におけるエターニアの真の意味
Image: Masters of The Universe – Official Trailer / YouTube 2026年5月31日閲覧 感情を抑制し「力」を重んじるエターニア社会と、アダムが15年間育ち、共感やコミュニケーションを学んだ地球。
地球との対比で描かれる「80年代的マスキュリニティ(男らしさ)」の象徴
深い歴史を持つエターニアという星は、今回の実写映画において単なるファンタジーの舞台にとどまらない。
エンタメメディア「The Nerds of Color」のインタビュー記事によると、トラヴィス・ナイト監督は、物語の主な舞台であるエターニアという惑星社会を、力や強さ、そして感情の抑制を絶対的なものとする「80年代的な男らしさ」の象徴として意図的に定義したと語っている。そしてこのエターニアの社会は、アダムが15年間育った地球と明確に対比させる構造になっていると同メディアに対し明かした。アダムが身を隠していた現代の地球は、共感やコミュニケーション、そして感情的な理解を重んじる社会として描かれているのだ。
つまり、エターニアという星は、「現代社会(地球)に対する過去の価値観(80年代の旧来の男らしさ)」のメタファーとして機能している。主人公アダムは、この相反する二つの価値観が衝突する中で、真の強さとは何かを模索していくことになる。
まとめ:相反する要素が織りなす奥深い神話。すべてを受け入れる器の広さ
一見すると「剣と魔法」のファンタジーに「レーザー銃や宇宙船」が混ざり合った、メチャクチャな世界観に見える『マスターズ・オブ・ユニバース』。しかしその裏には、制作陣があえて愛した「本来のバカバカしさ」への強いリスペクトと、古代プレエターニア時代から続くテクノロジーと魔法の対立という、緻密で重厚な歴史が隠されている。
さらに今回の実写映画では、エターニアという舞台が単なる異世界を超え、「80年代的な男らしさ」の象徴として再定義された。
テクノロジーと魔法、力と共感など、本作にはあらゆる相反する要素が混在し、ぶつかり合っている。一見するとメチャクチャなこの世界観の裏にある意図を知ることで、本作が単なるB級ファンタジーではなく、多様な価値観や歴史をすべて受け入れる器の広さを持った、奥深い物語であることが見えてくる。































