映画『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』を彩る「神曲」たち!オーケストラ生演奏の裏側と歴代サントラへのリスペクトを解説

『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』サウンドトラック
映画の感動を何倍にも引き上げる「神曲」たちが収録されたオリジナル・サウンドトラック。
Image: Super Mario Galaxy – YouTube 2026年4月28日閲覧

2026年4月に公開された映画『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』は、全世界の興行収入が1000億円を突破する歴史的な大ヒットを記録している。前作の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』と合わせると、シリーズ累計で20億ドルを超える規模にまで成長した。美しい映像やキャラクターたちの声優の演技が注目されがちだが、この映画のヒットを支える重要な要素に「音楽」がある。

本作の音楽を担当したのは、前作に引き続きハリウッドで活躍する作曲家のブライアン・タイラーだ。彼自身が長年のマリオファンであり、今回の音楽には、過去のゲームシリーズから引用した小ネタ(イースターエッグ)が300以上も隠されている。

しかし、彼の音楽は単なるファンサービスにとどまらない。タイラーは、マリオ音楽の生みの親である近藤浩治氏をスコアコンサルタントとして迎え、密に連携しながら制作を進めた。映画のストーリーやキャラクターの感情を表現することを最優先とし、ゲームの懐かしいメロディと映画らしい壮大なオーケストラの響きを緻密に融合させている。

本記事では、この映画を彩る音楽の裏側に迫り、オーケストラ生演奏の制作エピソードや、歴代ゲーム音楽へのリスペクトについて分析・解説していく。

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壮絶なドラマ!「オーケストラ生演奏」と作曲の裏側

70人編成のフルオーケストラと50種の楽器が織りなす大迫力

イーストウッド・スコアリング・ステージで映画『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』のオーケストラを指揮するブライアン・タイラー
ワーナー・ブラザース・スタジオのイーストウッド・スコアリング・ステージで行われた、70人編成のフルオーケストラによる大迫力のレコーディング風景。
Image: “Super Mario Brothers Prelude” Session from The Super Mario Galaxy Movie score by Brian Tyler – YouTube 2026年4月28日閲覧

本作の壮大な音楽は、ワーナー・ブラザース・スタジオ内にある有名なイーストウッド・スコアリング・ステージにて録音された。演奏には70人編成のフルオーケストラが動員され、映画の広大なスケールにふさわしい重厚なサウンドが作り上げられている。

さらに特筆すべきは、作曲家であるブライアン・タイラー自身による楽器演奏へのこだわりだ。彼はオーケストラの指揮だけでなく、フラメンコギターやウードやアラビアの楽器、メタルギター、ドラムなど、約50種類もの楽器を自らの手で演奏し、楽曲に組み込んでいる。

そして、これらの多種多様な生楽器によるオーケストラサウンドに、昔懐かしい「ピコピコ」とした8ビットのレトロ音源をあえてミックスすることで、マリオならではの個性とハリウッド映画らしいスケール感を見事に融合させている。

バイオリン、チェロ、コントラバス、ビオラ、フレンチホルン、トロンボーン、すべての木管楽器、フルート、クラリネット、オーボエ、そしてフルコーラスを含むフルオーケストラのために作曲しました。スコアでは多くの楽器も演奏しました。ウードやアラビアの楽器からフラメンコギターまで、あらゆる楽器です。メタルギター、ドラムのブラストビート、アップライトベース、6弦ベースも入れました。私自身も50種類ほどの楽器を演奏しています。非常に折衷的なミックスです。また、懐かしさを感じさせる8ビット風のピコピコ音も入れています。

音楽 ブライアン・タイラーThe Secret Brian Tyler Hid While Composing the ‘Super Mario Galaxy’ Score (Exclusive) – Men’s Journalより引用 2026年4月28日閲覧

【驚愕】病室のベッドで極秘作曲されていた!?

この圧倒的なサウンドトラックの裏には、完成すら危ぶまれるほどの壮絶なドラマが隠されていた。タイラーは2025年8月に別の映画(『ニュルンベルク』)の作曲作業を終えた直後、わずか45分間のうちに2度も脳出血を起こして倒れ、緊急入院することになってしまったのだ。

しかし、彼は回復に向けた入院期間を利用して本作のスコアを書き続けた。驚くべきことに、彼は病室のベッドの上にいながら、制作チームに自身の病状を一切知らせず、極秘でメインテーマなどの作曲を進めていた。映画の制作チームやファンをガッカリさせたくないという彼の並々ならぬ情熱が、病床での執筆を突き動かしていたのだ。

実は入院中にこの曲を書いていたんです。誰にも迷惑をかけたくなかったから。みんなには内緒にしていました。メインテーマの多くは入院中に書いたんです。

ブライアン・タイラーThe Secret Brian Tyler Hid While Composing the ‘Super Mario Galaxy’ Score (Exclusive) – Men’s Journalより引用 2026年4月28日閲覧

徹底解説!歴代サントラへの深いリスペクト

スコアコンサルタント・近藤浩治氏との夢のタッグ

本作の音楽制作には、歴代『スーパーマリオ』シリーズの音楽を手がけてきた「マリオ音楽の生みの親」である近藤浩治氏が、スコアコンサルタントとして参加している。

作曲を担当したブライアン・タイラーは、近藤氏をはじめとする任天堂のチームと密に連携し、膨大なアイデアのリストを共有しながら制作を進めた。任天堂側は、単にファンサービスとして過去の曲を使うのではなく、映画のストーリーや感情的な体験を豊かにすることを何よりも優先していた。彼らはタイラーが映画音楽のプロであることを深く尊重し、全幅の信頼を寄せていたのだ。

彼らは、映画の体験を損なうような引用は決してしないことを知っている。だから、「私たちは映画音楽を手がけるあなたに依頼しました。それがあなたの仕事です。あなたは物語を語り、映画の感情的な体験や物語性を高める音楽の作り方を知っています。私たちは、その邪魔になるものは何も望んでいません。それが私たちの主な目標です」と言う。

ブライアン・タイラー The Secret Brian Tyler Hid While Composing the ‘Super Mario Galaxy’ Score (Exclusive) – Men’s Journalより引用 2026年4月28日閲覧

隠された300以上の「イースターエッグ(小ネタ)」

タイラー自身も大のゲームファンであり、今回のスコアには過去のゲームシリーズからの引用や音楽的なイースターエッグ(小ネタ)が300以上も隠されている。

しかし、これらは単なるファンを喜ばせるためだけのファンサービスではない。彼は映画のストーリーを第一に考え、映像の感情的なインパクトを高めるために、元のメロディを緻密にブレンドしている。元ネタを知らない観客であっても、ひとつの映画音楽として感動できるように計算されて作られているのだ。

その隠し方も非常に巧妙である。オーケストラの壮大なメインテーマの裏で、画面の奥を歩いているキャラクターのテーマ曲を、別の楽器で合いの手のように演奏させるといった、高度な音楽的テクニックが用いられている。タイラー自身もひとりのファンとして楽しんでいる。

バイオリンやトロンボーン、ホルン、合唱団が、私がそのシーンのために作曲したメインテーマを演奏します。すると、木管楽器が、背景を歩いているキャラクターのテーマを引用して応えるんです。

音楽 ブライアン・タイラー The Secret Brian Tyler Hid While Composing the ‘Super Mario Galaxy’ Score (Exclusive) – Men’s Journalより引用 2026年4月28日閲覧

タイラー自身もひとりのファンとして楽しんでいる。

キャラクターの個性を引き立てる新たな「テーマ曲」

妹を探すロゼッタの優しき旋律と、いたずら好きなクッパJr.

本作では、既存のゲーム音楽のアレンジにとどまらず、主要なキャラクターごとに新しいテーマ曲が書き下ろされている。とくに注目したいのは、本作から本格的に登場したロゼッタとクッパJr.のテーマ曲だ。

ロゼッタのテーマ曲である「Super Mario Galaxy」は、本作で明らかになった「ピーチ姫とロゼッタが姉妹であった」という設定を色濃く反映している。長年存在を知らなかった生き別れの妹を探し求める彼女の感情に寄り添うような、美しく家族愛に満ちた旋律となっている。

一方、クッパJr.のテーマ曲「The Rise of Bowser Jr.」は、彼のキャラクター性がそのまま音で表現されている。偉大で恐ろしい悪役である父親のクッパに認められたいという思いから、精一杯の悪事を働こうとする「いたずらっぽさ」が込められている。

クッパJr.はいたずら好きで、悪役の父親を感心させようとしています。父親を感心させようと、できる限り悪事を働くというのは、ちょっと可愛いですよね。ロゼッタには、自分が存在を知らなかった姉妹を探しているような、美しい家族のテーマがあります。とても美しいです。

ブライアン・タイラー The Secret Brian Tyler Hid While Composing the ‘Super Mario Galaxy’ Score (Exclusive) – Men’s Journalより引用 2026年4月28日閲覧

ジャズ&トラップ!?ヨッシーのファンキーな新テーマ

本作からマリオたちの仲間として活躍するヨッシーにも、専用の新しいテーマ曲「Yoshi On the Go」が用意された。

ヨッシーのテーマ曲は、ロゼッタたちの壮大なオーケストラ曲とは打って変わり、非常にユニークな作りになっている。ジャズやファンクの要素を取り入れ、さらには「トラップ」と呼ばれるノリの良い現代的なヒップホップのリズムまで混ぜ合わせているのだ。こうした様々な音楽ジャンルの融合によって、ヨッシーの軽快なキャラクター性が見事に引き立てられている。

ヨッシーには、彼独自のとても面白いジャジーでファンキーな曲があり、トラップの要素も少し入っています。本当にさまざまなスタイルがありますが、それがまさにスーパーマリオブラザーズの世界観なんです。

ブライアン・タイラー The Secret Brian Tyler Hid While Composing the ‘Super Mario Galaxy’ Score (Exclusive) – Men’s Journalより引用 2026年4月28日閲覧

ファン歓喜!映画を彩る名曲・神曲の具体例

伝説の名曲「ウインドガーデン」の圧倒的なスケール感

原作『スーパーマリオギャラクシー』の中でも屈指の名曲として知られる横田真人氏作曲の「ウインドガーデン(Gusty Garden Galaxy)」はそのままではないが、本作でも極上のオーケストラアレンジが施されて登場する。

この楽曲は、劇中の激しいアクションシーンで効果的に使用されている。たとえば、ピーチやキノピオたちが戦う「Punishment By Parasol」や、マリオたちがクッパ親子と激突する「Family Is Forever」といった楽曲の中で、壮大なメロディが姿を現す。敵の猛攻を押し返すような英雄的な響きは、多くのファンを感動させている。

傑出したアクションシーン「Punishment By Parasol」は、雷鳴のような4分間の演奏を通して決して緩むことなく、(中略)ついに横田真人氏の「ガスティガーデンギャラクシー」とタイラーのメインテーマが英雄的にトラックを締めくくります。

The Super Mario Galaxy Movie – Soundtrack Review – Zanobard Reviewsより引用 2026年4月28日閲覧

他作品からのサプライズ!『スターフォックス』『ピクミン』の参戦

本作最大のサプライズのひとつが、『スーパーマリオ』以外の任天堂作品からのクロスオーバーである。マリオたちが宇宙を移動するために優秀なパイロットを探すシーンでは、『スターフォックス』シリーズの主人公フォックス・マクラウドが登場する。

このシーンで流れる「The Flight Deck」という楽曲では、オーケストラが奏でる『スーパーマリオ』のメロディの終盤で、突如としてエレキギターとドラムが鳴り響き、『スターフォックス64』のオープニングテーマが大迫力で演奏される。さらに、同じ場面でピクミンがカメオ出演する際には、ゲーム内で流れる「日没前?一日の終わり?(Before Nightfall)」のジングルが使われている。細かい部分にまでマニアックな小ネタが仕込まれているのだ。

「The Flight Deck」は、究極の任天堂クロスオーバー作品です。映画の中で、ピーチ姫とマリオ兄弟は、スペースジャンクギャラクシーにいるロゼッタに会うためにパイロットを必要とします。そのパイロットとは、他でもない『スターフォックス』のフォックス・マクラウドです。これにより、タイラーは自身のオリジナルスコアと『スーパーマリオギャラクシー』のサウンド、そしてスリリングな『スターフォックス』のテーマを融合させる絶好の機会を得ました。

Shane RomanchickThe 7 Best Super Mario Galaxy Movie Music Tracks, Ranked | Military.comより引用(2026年4月28日閲覧)

歴代メドレーで感動のフィナーレ!エンディング曲「1up」

映画のエンディング(エンドクレジット)を飾る「1up」は、歴代のクラシックなゲームテーマ曲をオーケストラでメドレーにした豪華な楽曲である。

前作のエンドクレジット曲「Level Complete」と同じアプローチで作られており、『スーパーマリオワールド』のエンディングやお城のBGM、さらには『スーパーマリオランド』の「ピラプト王国」といった懐かしいメロディが次々と登場する。映画本編の余韻に浸りながら、これまでのシリーズの歴史を耳で振り返ることができる最高のファンサービスとなっている。

最初の映画の「Level Complete」と同様に、タイラーが近藤のクラシックゲームのテーマを壮大なオーケストラで演奏し、スコアを再び完璧に締めくくる「1up」で素晴らしいエンドクレジットを堪能できます。

Zanobard Reviews 音楽レビューThe Super Mario Galaxy Movie – Soundtrack Review – Zanobard Reviewsより引用 2026年4月28日閲覧

メディアやファンからの絶賛の嵐

音楽レビューサイトでも高評価を獲得

本作のサウンドトラックは、映画の公開と同時に音楽レビューサイトなどでも高い評価を獲得している。特に、作曲家であるブライアン・タイラーがこだわった「壮大なオーケストラとレトロな8ビットサウンドの融合」という音楽的アプローチは、多くの批評家から絶賛されている。

海外の音楽レビューサイト「Zanobard Reviews」では、本作のスコアに対して10点満点中8.5点という高得点がつけられた。タイラーの音楽が持つ圧倒的な熱量が、映画の美しい映像やアクションシーンをさらに引き立てていると高く評価されている。

この広大なテーマのタペストリーを手に、タイラーはそれを緻密なオーケストラと8ビットの作曲スタイルと見事に融合させ、息を呑むような瞬間(「「Star Shower」)や、素晴らしいアクションシーン(「Assault On Planet Bowser」)を生み出し、全体としてこの続編のスコアを驚異的なオリジナルにふさわしいものにしている。

Zanobard Reviews 音楽レビューThe Super Mario Galaxy Movie – Soundtrack Review – Zanobard Reviewsより引用 2026年4月28日閲覧

また、軍事系ニュースサイトでありながらエンタメ情報も扱う「Military.com」でも、「映画『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』名曲ランキング・ベスト7」といった特集記事が組まれている。サウンドトラック単体としての完成度の高さが、様々なメディアで注目を集めている証拠である。

この楽曲は、音楽的なイースターエッグとオリジナル曲が見事に融合しており、ギャラクシーの星間的な雰囲気に完璧にマッチしている。

Shane Romanchick The 7 Best Super Mario Galaxy Movie Music Tracks, Ranked | Military.comより引用 2026年4月28日閲覧

このように、本作の音楽は映画ファンやゲームファンにとどまらず、音楽評論家からも「神曲」の集大成として圧倒的な支持を受けている。

まとめ:全体として一つの体験のように感じてほしい

映画『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』の音楽は、単なる過去作のBGMの使い回しではない。作曲家ブライアン・タイラーの並々ならぬ原作愛と、フルオーケストラが持つ圧倒的な表現力が見事に融合した結晶である。300以上にも及ぶ緻密な小ネタを忍ばせながらも、映画のストーリーや感情体験を高めることを最優先とした彼の姿勢が、数々の「神曲」を生み出した。

壮大な宇宙を舞台にしたアクションや、キャラクターたちの繊細な感情の揺れ動きは、この洗練された音楽によって何倍にも引き上げられている。タイラー自身も、音楽がシーンごとの単なる寄せ集めではなく、映画全体の体験として観客を自然と没入させることを目指していた。

一連のシーンや楽曲の羅列ではなく、一つの体験として感じてほしい。面白いのは、観客は作品に没入したいと思っていて、自分が音楽に何らかの形で影響を受けていることにさえ気づかない、という点です。

ブライアン・タイラー The Secret Brian Tyler Hid While Composing the ‘Super Mario Galaxy’ Score (Exclusive) – Men’s Journalより引用 2026年4月28日閲覧

特にサンドトラックを意識せずとも心がワクワクしていたなら、それはタイラーの狙い通りに映画を十分に体験できていたということだ。

Nintendo DREAM WEBによると、劇中のBGMを収録した公式サウンドトラック・コレクションが、iam8bit Japanより9月下旬に発売が決定している。

コレクター垂涎のiam8bit限定カラー盤やアナログレコード(2LP)をはじめ、CD、カセットテープまで、ファンを魅了する豪華なラインナップを取り揃えました。クッパ(ジャック・ブラック)が歌い上げる世界的大ヒット曲「Peaches(ピーチズ)」を含む、物語を彩る全36曲を完全収録しています。

映画 『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー (The Super Mario Bros. Movie)』 サウンドトラック コレクション | iam8bit japan & asia 公式オンラインストアより引用(via Nintendo DREAM WEB)2026年4月28日閲覧

予約が始まっており、すでにCD版はSOLD OUTとなっている(2026年4月28日時点)。

参考資料: