Image: M3GAN – official trailer – YouTube
映画『M3GAN ミーガン』の制作背景や、インスピレーションの源泉となった要素について解説する。本作は完全オリジナル脚本であり、特定の原作小説や漫画は存在しないが、制作陣が明かした複数の「元ネタ」が存在する 。
コンセプトの原点:「アナベル」と「ターミネーター」の融合
プロデューサーのジェームズ・ワンは、自身の制作会社Atomic Monsterの制作チームとの会話の中で、「殺人人形映画が足りない」という話題になったことが本作の始まりだと語っている 。[1]
これまでの人形ホラー(『死霊館』のアナベルや『SAW』のジグソウなど)の多くは、人形が超自然的な存在や悪魔の「媒介(器)」に過ぎず、人形でなくなることが多かった 。そこでワンは、「もし『アナベル』が『ターミネーター』に出会ったらどうなるか」というアイデアを提示した 。超自然現象ではなく、「制御不能になったテクノロジー」としての恐怖を描くことが、本作の核となるコンセプトである 。
脚本家アケラ・クーパーが投影した「育児への恐怖」
脚本を担当したアケラ・クーパーは、自身が姪や甥のベビーシッターをしていた際の経験を物語に反映させている 。「もし突然、フルタイムで子供の世話をしなければならなくなったら」という彼女自身の不安が、主人公ジェマの設定に繋がった 。[1]
劇中のジェマは、多忙なキャリアを優先し、姪のケイディとの情緒的な繋がりを築く代わりに、ロボット(ミーガン)に育児を代行させる 。この「親としての責任を回避し、テクノロジーに丸投げする」という現代的な倫理観の欠如が、ミーガンの暴走を招く真の要因として描かれている 。
監督が込めた「現代の風刺」と意外な影響
監督を務めたジェラルド・ジョンストンは、本作を「21世紀の育児に関する現代の教訓」と定義している 。[1]彼自身も幼い子供を持つ父親であり、周囲でスマートフォンやタブレットが子供に与える影響に危機感を抱いていたことが、制作の動機となった 。
特筆すべきは、ジョンストン自身がSNSを一切利用せず、テクノロジーに詳しくなかった点である 。彼は客観的な視点で「テクノロジーの暴走」を描くため、Googleの専門家などに取材を行い、AIに関する知識を補った 。
また、映画的な影響として以下の作品を挙げている。
- 『オーメン』: ミーガンを「AI版のアンチ・キリスト」として描写 。
- 『ピノキオ』: ジェマを現代のゼペット、ミーガンをピノキオに見立てた構造 。
- ドメスティック・ノワール: 『ゴーン・ガール』や『ゆりかごを揺らす手』のような、家庭内に潜む脅威のトーン 。
ジェームズ・ワンの「恐怖のルーツ」
本作をプロデュースしたジェームズ・ワン自身のホラーに対する嗜好も、作品に影響を与えている。彼は幼少期に影響を受けた作品として以下の2作を挙げている 。[2]
- 『白雪姫』(1937): 映画を愛するきっかけとなったと同時に、不気味な魔女に強い恐怖を感じた 。
- 『ポルターガイスト』(1982): 人生を狂わせるほどの衝撃を受け、ピエロや人形に対する恐怖症(人形恐怖症)の原点となった 。
この「人形への原初的な恐怖」が、現代のAI技術と結びついたことで、『M3GAN ミーガン』という新しいアイコンが誕生した。
補足:印象的な「ダンスシーン」の由来
SNSで話題となったミーガンのダンスシーンは、実は脚本には存在しなかった 。これは監督のジェラルド・ジョンストンが、殺戮の最中に見せる「不条理でキャンプな面白さ」を演出するために現場で加えたアイデアである 。
参考資料






