映画『スーパーガール』歴代作品の違いと新DCUの時系列。過去作リセットの真相

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サングラスとヘッドホンを身につけ、愛犬クリプトを膝に乗せて宇宙船を操縦する新DCUのスーパーガール(ミリー・オールコック演)
従来の優等生的なイメージを覆す、愛犬クリプトと宇宙を旅する新DCUのスーパーガール(公式予告編より/© & TM DC © 2026 WBEI)
Image: 映画『スーパーガール』本予告 | 2026年6月26日(金)日米同時公開 / YouTube 2026年6月25日閲覧

スーパーガールはこれまでに何度も実写映像化されてきたが、作品ごとに主演俳優や設定が異なるため、どの作品がどの時系列に繋がっているのか分かりにくい部分がある。本記事では、過去の歴代作品の変遷を振り返りながら、2026年公開の新作映画『スーパーガール』が新たなDCユニバースにおいてどのような立ち位置になるのかを解説する。

  1. 歴代の『スーパーガール』映像作品は独立した世界線。2026年の新作は過去をリセットした「新DCU」の第1章
    1. 1984年版、ドラマ版、DCEU版(ザ・フラッシュ)から連なる実写映像化の歴史
    2. 新作映画は『スーパーマン』(2025年)から連なる新ユニバース「Gods and Monsters」に属する
  2. 過去の映画版(1984年版・ザ・フラッシュ版)の設定の特徴と、新DCUとは繋がらない別バースという事実
    1. ヘレン・スレイター主演の1984年版における神話的構成と、ディレクターズ・カット版の再評価
    2. 改変された別バースで完結した『ザ・フラッシュ』(2023年)のダークな設定とサッシャ・カジェ版の終焉
  3. 全6シーズン愛されたドラマ版(アローバース)の社会的功績と、前向きな理由で完結を迎えた背景
    1. 地球のメディア企業での生活と社会正義を真正面から描いたアローバース独自の設定
    2. 打ち切りではなく、主演メリッサ・ブノワの休息とキャラクターの自己受容による円満なフィナーレ
  4. 新DCUの新作版はスーパーマンのサポート役から脱却した、宇宙をサバイブする孤高のアンチヒーロー
    1. 完璧なスーパーマンとは対極にある、クリプトン星崩壊のトラウマを抱えた不完全で荒々しいキャラクター像
    2. 地球を離れ、宇宙の辺境を賞金稼ぎロボたちと巡る「スペース・ウエスタン」としての全く新しい世界観
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歴代の『スーパーガール』映像作品は独立した世界線。2026年の新作は過去をリセットした「新DCU」の第1章

1984年版、ドラマ版、DCEU版(ザ・フラッシュ)から連なる実写映像化の歴史

スーパーガールの実写化の歴史は、1984年に公開されたヘレン・スレイター主演の映画版から始まった。その後、2015年から2021年にかけてはメリッサ・ブノワ(ベノイスト)主演のドラマシリーズが放送されている。さらに、2023年公開の映画『ザ・フラッシュ』では、サッシャ・カジェがスーパーガールを演じた。

これらの映像作品は、それぞれが独立したユニバース(並行世界)を舞台にしている。そのため、1984年の映画版、長年続いたドラマ版、そして『ザ・フラッシュ』版の物語が直接繋がっているわけではない。過去の作品群は、それぞれ別の世界線で完結した独自の物語だ。

新作映画は『スーパーマン』(2025年)から連なる新ユニバース「Gods and Monsters」に属する

孤独の要塞で対峙するスーパーマンと泥酔したスーパーガール
『スーパーマン』の結末で姿を見せた、酔っぱらったカーラ((C) & TM DC (C) 2025 WBEI)
Image: Superman – A punkrocker ending ft. Supergirl 🦸 | DC / YouTube 2026年6月25日閲覧

2026年に公開される新作映画『スーパーガール』は、これまでのDCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)をリセットして始動した、新たな「DCU(DCユニバース)」に属する作品である。ジェームズ・ガンとピーター・サフランが率いるこの新DCUにおいて、本作は第1章「Chapter 1: Gods and Monsters」の2作目の映画として位置づけられている。

本作の時系列は、デヴィッド・コレンスウェットが主演を務めた2025年の映画『スーパーマン』と繋がっている。実際、『スーパーマン』の結末において、ミリー・オールコック演じるスーパーガールがカメオ登場している。彼女は酔っ払った状態で「孤独の要塞」に現れ、スーパーマンに預けていた愛犬クリプトを引き取るという形で姿を見せた。このように、新作映画は『スーパーマン』と明確に同じ世界観を共有しており、そこから続く物語として展開していく。

過去の映画版(1984年版・ザ・フラッシュ版)の設定の特徴と、新DCUとは繋がらない別バースという事実

ヘレン・スレイター主演の1984年版における神話的構成と、ディレクターズ・カット版の再評価

1984年に公開されたヘレン・スレイター主演の映画版『スーパーガール』は、約3500万ドルの予算に対して興行収入は約1430万ドルにとどまり、商業的には失敗に終わった。

しかし、映画メディア「Bright Lights Film Journal」の独自の考察によると、本作の物語は神話学者のジョセフ・キャンベルが提唱した「英雄の旅(モノミス)」の構造に沿って作られているという。また同メディアは、当時の男性中心的なヒーロー像が反映されており、主人公が論理的思考や物理的な強さといった「男性的」な特徴を獲得していくことでヒロイズムに到達する構成になっていたと分析している。

公開当時は興行的に振るわなかった本作だが、現在では一部のファンからカルト的な人気を集める作品となっている。失われたシーンを追加した138分におよぶディレクターズ・カット版が後にリリースされたことも、作品が長く親しまれ再評価される要因となっている。

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改変された別バースで完結した『ザ・フラッシュ』(2023年)のダークな設定とサッシャ・カジェ版の終焉

2023年の映画『ザ・フラッシュ』に登場したサッシャ・カジェ演じるスーパーガールは、過去作とは大きく異なる設定が与えられていた。彼女は地球に到着後、シベリアの傭兵に捕らえられ、何年もの間幽閉されて衰弱しきっていたという非常にダークな境遇におかれていた。

この過酷な世界線は、主人公バリー・アレンが過去を変えるために行ったタイムトラベルによって生み出された「改変された別バース」での出来事。映画の中でこの世界線の物語は完結しており、最終的にタイムラインは修正されている。

したがって、サッシャ・カジェが演じたスーパーガールはこの独立した世界線のみの存在となる。これまでの設定をリセットして再始動する新作映画の世界線には引き継がれないため、新DCUとは一切繋がっていない。

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全6シーズン愛されたドラマ版(アローバース)の社会的功績と、前向きな理由で完結を迎えた背景

地球のメディア企業での生活と社会正義を真正面から描いたアローバース独自の設定

歴代作品の中で最もエピソード数が多いドラマ版では、主人公のカーラ・ダンバースが地球のメディア企業「CatCo(キャットコー)」で記者として働きながら、ヒーローとして活動する二重生活が描かれている。

このシリーズは、偏見や差別といった現実社会の分断に対し、「希望」を武器にして真正面から向き合ったことが大きな特徴。劇中ではトランスジェンダーのキャラクターが自身のアイデンティティを公表する展開が盛り込まれるなど、LGBTQ+をはじめとする多様な立場の人々に寄り添うストーリーが展開された。Glitter Magazineのインタビューによると、ショーランナーのジェシカ・クエラーは、この番組が常に弱い立場にある人々の味方であり続け、社会正義(Social Justice)のテーマを発信し続けることを重視していたという。

打ち切りではなく、主演メリッサ・ブノワの休息とキャラクターの自己受容による円満なフィナーレ

全6シーズンにわたって放送されたドラマ版は、視聴率の低下による単なる打ち切りで終了したわけではない。Entertainment Weeklyのインタビューによると、主演を務めたメリッサ・ブノワは、役から離れる寂しさはあるものの「個人的な休息が必要だった」と語っており、前向きな理由でシリーズから卒業したことを明かしている。

物語の結末においても、カーラは地球に住むエイリアンとしての強大な力と、人間としての自分自身の両方を同時に受け入れるという「自己受容」の着地を見せている。同インタビューに対しブノワは、人間とエイリアンというふたつの側面を統合し、自分自身のすべてに誇りを持てるようになる展開にやりがいを感じていたと語っている。キャラクターが精神的な成長を遂げ、完璧なフィナーレを迎えたことで、ドラマ版の物語はしっかりと幕を閉じた。

新DCUの新作版はスーパーマンのサポート役から脱却した、宇宙をサバイブする孤高のアンチヒーロー

完璧なスーパーマンとは対極にある、クリプトン星崩壊のトラウマを抱えた不完全で荒々しいキャラクター像

2026年の新作映画におけるスーパーガール(ミリー・オールコック)は、過去の映像作品で描かれてきた「地球にいるスーパーマンの従妹」や「サポート役」という従来の枠組みから完全に脱却している。地球へ送られて愛情深い養父母に育てられた楽観的なスーパーマンとは異なり、彼女は全く違う過酷な境遇を生きてきた。

SYFY WIREのインタビューによると、原作コミックのライターであるトム・キングは、彼女が14歳の時にクリプトン星の崩壊を経験し、愛する人々が死んでいくのをその目で目撃したという事実がふたりの決定的な違いだと語っている。その強烈なトラウマを抱えているため、新作の彼女は人間不信でシニカルな性格となっており、どこか荒々しく不完全な「アンチヒーロー」として再定義されている。

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地球を離れ、宇宙の辺境を賞金稼ぎロボたちと巡る「スペース・ウエスタン」としての全く新しい世界観

爆炎の中バイクに乗って登場する賞金稼ぎのロボ(ジェイソン・モモア演)
高層ビルのある地球ではなく、荒廃した宇宙の辺境が舞台となる(公式特別映像より/© & TM DC © 2026 WBEI)
Image: 映画『スーパーガール』特別映像<超絶アクション編> | 2026年6月26日(金)日米同時公開 / YouTube 2026年6月25日閲覧

新作映画の舞台は地球ではなく、宇宙の辺境がメインとなる。劇中には「赤い太陽の星」が登場し、そこではクリプトン星人としての特殊能力が失われるため、彼女は普通の人間のように酒に酔うことができるという設定になっている。

物語は、父親を殺されて復讐を誓う少女ルーシーの旅に、スーパーガールが同行する形で進んでいく。その道中では、ジェイソン・モモア演じる宇宙の賞金稼ぎであるロボといった荒くれ者たちと絡むことになり、IndieWireのインタビューに対しクレイグ・ギレスピー監督は、本作の世界観が『トゥルー・グリット』や『マッドマックス』のような要素を持つと明かしている。

従来の優等生的なヒーロー像を捨て、パンクロックな精神を持った型破りなヒロインとして生まれ変わる本作は、これまでのスーパーガール像を大きく覆す全く新しいSFアクション作品として期待が高まっている。