批評家層が不満を抱いた最大の要因は、洗練されたストーリー構造や映画としての整合性の欠如にある。劇中で格闘大会が途中で中断する展開や不全感の残る結末、多数のキャラクターが交錯する構造に対し、批評家は「支離滅裂な未完成品」との判定を下した。しかし、これらは制作陣による意図的な演出アプローチでもあった。監督を務めたキタオ・サクライはIndieWireの取材に対し、ハリウッドの王道大作を作る気はなく、自身も携わったシュールコメディ番組『エリック・アンドレ・ショー』やロバート・アルトマン監督の群像劇『ナッシュビル』のように「トーンとして変で奇妙(tonally weird and strange)」な世界観を目指したと明かしている。
ケン役を務めたノア・センティネオは、ネットや批評家からの厳しい声に対し、Nexus Point Newsの取材で「批評家が何を言おうと関係ない。自分たちが現場で築いた絆と楽しさは本物であり、ファンが劇場で大声を上げて楽しんでくれることこそがすべてだ」と語り、強い誇りを示した。ノアは映画『マインクラフト』を劇場で観賞した際、客席全体が歓声と爆爆に包まれた体験に感銘を受け、「自分も観客が最高の時間を過ごせるファンファーストの映画を作りたい」と考えて本作に臨んだ経緯をCBS Morningsで明かしている。主演のアンドリュー・小路やカリーナ・リャン、50 Cent、コーディ・ローデスら主要キャスト陣も口を揃えて「この映画はファンによって、ファンのために作られた」と強調し、映画館で仲間と共に騒ぎ楽しむためのアトラクションであることを提示している。
未完の大会ラストが仕掛けた余韻と、早くも動き出した続編構想
格闘大会が完結しないまま幕を閉じるという大胆な結末は波紋を呼んだものの、制作陣の視線はすでにその先を見据えている。キタオ監督はMovieWebの取材に応じ、すでに続編に向けたストーリー開発と脚本執筆に着手していることを認めた。ノア・センティネオもThe Latin Timesの取材に対して「ケンというキャラクターを何度でも演じ続けたい」と語り、続編への意欲を表明している。未完のエンディングが残した唐突さは、映画界と世界中のファンに対し、単なる一作にとどまらない新たなフランチャイズの展開を力強く予感させている。