Image: Supergirl | Official Trailer / YouTube 2026年7月2日閲覧 従来のイメージを覆す、トラウマを抱えた不完全なスーパーガールの姿(© & TM DC © 2026 WBEI)
ジェームズ・ガンが率いる新生DCユニバースの第2弾として公開された映画『スーパーガール』。前作『スーパーマン』の成功を受け、大きな期待が寄せられていた本作だが、いざ公開されると評価は真っ二つに分かれる結果となった。なぜ本作はこれほどまでに賛否両論の議論を巻き起こしているのだろうか。この記事では、具体的な興行収入のデータや国内外のレビューサイトのスコアをもとに、映画『スーパーガール』の現在地を詳しく分析していく。
事前予測を下回る北米OP興収3710万ドルと、Rotten Tomatoes(批評家55%・観客76%)が示す賛否両論のスタート
絶賛の初期レビューから一転、各サイトのスコアは「賛否両論(Mixed or Average)」に着地
公開前に解禁された海外メディアやSNSでの初期レビューでは、本作に対して肯定的な意見が多く見られた。『マッドマックス』を思わせるようなダーティで荒廃した世界観や、主人公の破滅的で型破りなヒーロー像、そして迫力のあるアクションシーンが高く評価されていた。
しかし、一般公開が始まり各レビューサイトのスコアが出揃うと、評価は明確に割れることとなった。アメリカの大手レビューサイトであるRotten Tomatoesでは、批評家からの評価を示すトマトメーターが55%(レビュー数321件)、一般観客からの評価を示すポップコーンメーターが76%(評価数2500件以上)という結果になった。また、もう一つの大手サイトであるMetacriticでのスコアは49/100であり、客観的な世間の評価としては「賛否両論(Mixed or Average)」に着地している。
競合の影響と口コミで下方修正された予測と、全世界累計6550万ドルの厳しい初週実績
本作の北米におけるオープニング興行収入は、当初5,500万ドルから6,500万ドルに達すると予測されていた。しかし、『トイ・ストーリー5』といった強力な競合作品の存在や、事前に広まった賛否の分かれる口コミなどの影響を受け、公開直前には予測の数字が下方修正される事態となった。
結果として、実際の北米オープニング興行収入は約3,710万ドルにとどまった。全世界累計で見ても約6,550万ドルとなっており、商業的には苦戦を強いられる厳しい滑り出しとなった。
評価が真っ二つに割れた理由は「型破りなキャラクターたちの魅力」への称賛と「単調なストーリー」への不満
【肯定派の口コミ】傷だらけの不完全なヒロインと、場をさらう宇宙の賞金稼ぎの存在感
Image: 映画『スーパーガール』特別映像<超絶アクション編> | 2026年6月26日(金)日米同時公開 / YouTube 2026年7月2日閲覧 圧倒的な存在感でシーンスティーラーと称賛されるロボ(© & TM DC © 2026 WBEI)
本作を高く評価する声の多くは、これまでのスーパーヒーロー像を覆す主人公カーラ・ゾー=エルのキャラクター性に集まっている。彼女はトラウマを抱え、酒に溺れ、自らの不完全さを受け入れる「パンク・ロック」なヒロインとして描かれている。USA Todayがミリー・オールコック演じるカーラを「完璧に型破りなヒーロー」だと絶賛する一方で、IndieWireも優等生的なスーパーマン像に縛られない泥臭い冒険を高く評価している。また、ジェームズ・ガン監督自身もSciFiNowのインタビューに対し、女性ヒーローが完璧に描かれがちな中で、カーラが不完全でめちゃくちゃであるがゆえに美しい魂を持っていると語っている。
Image: Supergirl | Official Trailer / YouTube 2026年7月2日閲覧 CGだけなくアニマトロニクス技術が駆使された愛犬クリプト(© & TM DC © 2026 WBEI)
また、ジェイソン・モモアが演じる宇宙の賞金稼ぎ・ロボの存在も、映画の大きな強みとして挙げられている。劇中に登場するロボは、傍若無人で圧倒的な存在感を放ち、数々のメディアからこの役を演じるために生まれてきたようなシーンスティーラーであると称賛されている。さらに、アニマトロニクスを駆使して撮影された愛犬クリプトのリアルな描写も、物語の生命線として観客の心をつかんでいる。
ロボとクリプトについて詳しくはこちらの記事

【否定派の批判】ヴィランの魅力不足による復讐劇の予測可能性と、好みが分かれた作品のトーン
一方で、否定的な意見の矛先は主に脚本の単調さとヴィラン(敵役)の魅力不足に向けられている。家族を殺された少女・ルーシーによる復讐の旅というプロット自体が予測可能で、単調に進んでいく点に不満を抱く観客は少なくない。さらに、マティアス・スーナールツが演じるヴィランのクレムについては、ただ悪いだけで深みがない、記憶に残らない単調な悪役といった厳しい指摘が相次いでいる。
加えて、作品全体のトーンや演出の不均衡も批判の的となっている。戦闘シーンのたびにポップミュージックが挿入される演出に対しては、他作品の二番煎じのように感じると不満を抱く観客も存在している。さらに、映像のトーンに関しても、全体的に画面が暗すぎてアクションシーンで何が起きているのか見えづらいといった声が上がっている。こうした演出面と脚本の弱さが、本作をネガティブに評価する層の大きな要因となっている。
批評家スコア88%のドラマ版や、カルト化する1984年版との比較から浮き彫りになる本作の特異な立ち位置
トマトメーター19%の大失敗作から、「純粋に楽しめる」と再評価の声が上がる1984年実写映画版
1984年に公開されたヘレン・スレイター主演の映画『スーパーガール』は、製作費3500万ドルに対して北米興行収入が約1400万ドルにとどまり、商業的に大きな失敗に終わった作品として知られている。Rotten Tomatoesでの評価も批評家スコアが19%、観客スコアが26%と非常に低い数字が記録されている。しかし、そのチープな特殊効果や大げさな悪役の演技などから、後年になって一部の映画ファンに愛されるカルト的なクラシック映画となっている。
今回、最新作が賛否両論の評価を受けたことで、1984年版と本作を比較する声が上がり始めている。Rotten Tomatoesの一般観客のレビューの中には、最新作よりも1984年版のほうが好きだという意見や、昔の映画の方が純粋に楽しめたと再評価する声が存在する。The Hollywood Reporterによれば、本作の自動操縦のような展開よりも、1984年版のヒロインのほうが愛嬌があったと評価する声すらある。

明るく希望に満ちたドラマ版(アローバース)とは対極をなす、ダークで泥臭いヒーロー像の提示
もう一つの比較対象となるのが、メリッサ・ブノワが主演を務め、6シーズンにわたって放送されたテレビドラマ版の『スーパーガール』だ。このドラマ版はRotten Tomatoesで批評家スコア88%という高い評価を獲得している。ドラマ版は全体的に明るく希望に満ちたトーンであり、優等生的なヒーローの姿が描かれていた。
しかし、本作のスーパーガールはドラマ版とは明確に対極をなしている。主人公は故郷クリプトン星の崩壊による深いトラウマを抱え、酒に逃げるような傷だらけのダークなキャラクターとして設定されている。スーパーマンの影に隠れることなく、自らの不完全さを受け入れながら独立したヒーローとして道を切り開いていく姿が描かれている。The Directによると、本作はドラマ版とは全く異なる独自のアイデンティティを確立し、これまでの実写作品の枠を越えた新しいヒーロー像を提示している。
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本作の苦戦は『スーパーマン』の大成功から一転し、新生DC映画全体の命運を占う厳しい試金石へ
新生DCユニバース(DCU)の第1弾『スーパーマン』は世界興行収入6億ドルを超える大ヒットを記録し、希望に満ちたスタートを切った。しかし、それに続く第2弾として公開された本作は、興行的に苦戦を強いられ、評価も真っ二つに割れる厳しい結果となった。
この状況は、映画業界やDCファンに様々な波紋を広げている。The Hollywood Reporterによると、DCUに期待しているファンは、次作である『Man of Tomorrow』でジェームズ・ガンが再び監督の椅子に戻るまで、評価を保留して様子見をするのが得策だと考えを示している。またVarietyのレビューによると、ジェームズ・ガンが「確固たる脚本が完成するまで映画の製作には入らない」と明言していたにもかかわらず、本作は記憶にある限り最悪の脚本であると痛烈に批判されている。
ジェームズ・ガンとピーター・サフランが率いるDCU第1章は、まだ始まったばかり。しかし、成功を収めた前作から一転して苦戦を強いられた本作は、今後のDC映画全体の命運を占う厳しい試金石となってしまった。はたして次作『Man of Tomorrow』でファンの信頼を取り戻し、再びユニバースを軌道に乗せることができるのか。傷だらけのスーパーガールが映画の中で不完全な自分と向き合ったように、DCUそのものも今、大きな試練の時を迎えている。


































