Image: Toy Story 5 Movie Clip – What Did I Miss? (2026) / YouTube 2026年6月29日閲覧 本作で新たに登場する旧式ハイテクおもちゃの「テック・トリオ」(©2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.)
『トイ・ストーリー5』では、デジタル時代を反映し、おもちゃとテクノロジーの関係が重要なテーマとして描かれている。ボニーの部屋に最先端のタブレット端末「リリーパッド」がやってくる一方で、過去の電子おもちゃたちも新たなキャラクターとして登場する。中でも注目を集めているのが、「テック・トリオ」と呼ばれる3体のおもちゃだ。彼らがどのような機能や背景を持ち、物語においてどのような役割を担うのかについて紐解いていく。
新キャラクター「テック・トリオ」の正体!各デバイスの個性と機能
スマーティー・パンツ、スナッピー、アトラスのユニークなおもちゃ設定
『トイ・ストーリー5』で新たに登場するテック・トリオは、ジェシーがたどり着いた家(少女ブレイズの家)のタンスの中で長年忘れ去られていた、一昔前のハイテクおもちゃたちである。それぞれが独自の電子機器としての機能を持っている。
スマーティー・パンツは、トイレトレーニング用のおもちゃ。トイレットペーパーを模した白い体にカラフルな押しボタンがついたデザインで、毒舌でおしゃべりな性格をしている。
スナッピーは、ピンク色をしたデジカメのおもちゃ。3本脚のキュートな見た目が特徴で、仲間思いであり、過去に撮った思い出の写真を宝物にしている。
アトラスは、青いカバの姿をしたデジタルマップのおもちゃだ。GPS機能が搭載されており、陽気で頼りになる冒険の道案内役として活躍する。
これら3体は、最新のタブレット端末のような洗練されたデバイスではなく、あえて少し前の世代の電子機器として設定されている。
キャラクターの魅力を引き立てる日米の豪華声優陣
テック・トリオの3体には、日米ともに個性豊かな声優陣が起用されている。
日本版では、スマーティー・パンツを佐野勇斗、スナッピーを乃木坂46の井上和、アトラスを令和ロマンの松井ケムリが演じている。
一方、US版では、スマーティー・パンツ役にコメディアンのコナン・オブライエン、スナッピー役にシェルビー・ラバラ、アトラス役にクレイグ・ロビンソンが配役された。
スマーティー・パンツは長年電源が切られていたため、バッテリー残量が少なくなるとろれつが回らなくなり、酔っ払ったような話し方になるというコミカルな設定がある。米番組「Good Morning America」のインタビューによると、声を担当したオブライエンはこの状態を演じるにあたり、実際にテキーラを大量に飲んでメソッド演技で収録に臨んだと冗談交じりに語っている。
また、米メディア「Variety」に対し、監督のアンドリュー・スタントンはアトラスとスナッピーの配役について、常に一緒に話すキャラクターであるため、視聴者が聞き分けやすいように低い声と高い声の組み合わせを求めたと明かしている。このように、声優陣の演技や制作陣のこだわりが、テック・トリオの賑やかな掛け合いをより立体的なものにしている。
テック・トリオはジェシーたちの味方!物語における役割と登場の背景
悪役の噂は杞憂?主人公たちを導く頼もしい協力者としての活躍
Image: Toy Story 5 | Official Trailer | In Theaters June 19 / YouTube 2026年6月29日閲覧 ジェシーたちの頼もしい道案内役となるテック・トリオ(©2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.)
新キャラクターが登場した際、「彼らはウッディやジェシーたちの新たな障害になるのか?」と疑念を抱くかもしれないが、テック・トリオは決して悪役ではない。手違いから、かつての持ち主であるエミリーの家(現在は少女ブレイズが住んでいる)に迷い込んでしまったジェシーとブルズアイが出会うのが、この3体だ。
ジェシーが彼らに新しい電池を入れて復活させると、彼らは敵対するどころか、ジェシーのミッションを助ける強力なサポーターとなる。とくにGPS機能を持つアトラスは、頼れる道案内役として活躍する。彼らは、ジェシーが無事に持ち主のもとへ帰り、さらにはボニーとブレイズを引き合わせるための心強い仲間として一緒に奮闘する。
持ち主ブレイズのタンスで眠っていた「旧式ハイテク」が抱える悲哀
彼らがなぜこの物語に登場したのか、その背景には「忘れられたおもちゃ」としての悲しい現実がある。テック・トリオは、少女ブレイズがかつて遊んでいたお気に入りのおもちゃたちだった。
発売当時は最先端の技術を誇っていた彼らだが、ブレイズの成長や、次々と現れるより新しくて魅力的なデバイスへの乗り換えに伴い、出番を失ってしまった。そして、長年物置やタンスの奥でひっそりと眠りについていたのである。この設定は、電子機器であっても、新しいものが出ればすぐに「時代遅れ」になり、持ち主から忘れ去られてしまうという、現代ならではの残酷な関係性の変化を示している。
最新デバイスとの対比が示す「デジタルの消費スピード」と「おもちゃの普遍的価値」
新旧テクノロジーの比較で浮き彫りになる残酷な寿命
Image: Toy Story 5 | Final Trailer | Get Tickets Now / YouTube 2026年6月29日閲覧 ボニーが夢中になる最新鋭のタブレット端末「リリーパッド」(©2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.)
ボニーが夢中になる最新鋭のタブレット端末「リリーパッド」と、すでに過去のものとしてタンスにしまわれていた「テック・トリオ」の対比は、本作の重要な構造の一つ。
監督のアンドリュー・スタントンはYouTubeチャンネル「Katarina Mogus」のインタビューにおいて、テクノロジーにはすでにいくつかの世代(フェーズ)が存在していると語っている。スマーティー・パンツやスナッピーたちはすでに過ぎ去った過去のフェーズの代表であり、一方でリリーパッドは、現在における最も魅力的なフェーズに過ぎないという意図が込められている。
この新旧デバイスの明確な比較は、デジタル社会の残酷な側面を浮き彫りにする。どんなに最新で魅力的な機器であっても、技術の進化によってあっという間に陳腐化し、いずれは時代遅れのガラクタとして消費され、忘れ去られてしまうというテクノロジー特有の寿命の短さが描かれている。

思い出を宝物にするスナッピーが体現する「色褪せない存在意義」
しかし映画は、技術の寿命の短さに対して悲観的な現実を突きつけるだけではなく、「救い」となるアンサーも用意している。その鍵を握るのが、デジカメのおもちゃであるスナッピーだ。
スナッピーは解像度の低い古い液晶画面を持つ旧式のデバイスだが、過去に持ち主の少女ブレイズと一緒に撮った思い出の写真を今でも宝物のように大切にしており、新しい電池で目覚めてすぐブレイズとの記憶を語る。この設定は、機能としては完全に時代遅れになったとしても、持ち主と一緒に過ごした記憶や愛情は決して消費されないということを証明している。
最新の機能が失われても、おもちゃとしての「普遍的な価値」は色褪せない。テック・トリオ、とくにスナッピーの在り方は、電子機器であっても持ち主との絆が消えることはないという、本作の温かい裏テーマを力強く体現している。

テック・トリオが本作の裏テーマ「技術と愛情」にもたらした深い意味
『トイ・ストーリー5』において、テック・トリオは単なるにぎやかしのコミカルな新キャラクターではない。彼らは、ボニーの部屋を席巻する最新鋭のタブレット「リリーパッド」に対し、「過去のテクノロジー側からの共感とアンサー」を提示するという、完璧な対比構造を成している。
前出のKatarina Mogusのインタビューによると、スタントン監督は、テクノロジーの進化がいくつかの世代(フェーズ)を経てきたことを指摘し、ジェシーたち伝統的なおもちゃに「テクノロジー側のジレンマや懸念」を理解させ、感情移入させるためにテック・トリオの存在が必要不可欠だったと語っている。ジェシーは彼らと関わる中で、姿形や機能が電子機器であっても、かつて持ち主を愛し、そして忘れ去られる痛みを抱えているという共通点に気がつく。
この構造により、本作は単なる「おもちゃ対テクノロジー」という単純な善悪の対立を乗り越えている。最新のデバイスであっても、一昔前のハイテク機器であっても、そして昔ながらの布やプラスチックのおもちゃであっても、最終的な願いは「子どもの成長を助け、他者との繋がりを育むこと」で一致している。
機能としては完全に時代遅れになったテック・トリオたちが、今も持ち主との思い出を大切にしている姿には、テクノロジーがいかに残酷なスピードで消費されようとも、そこに宿った愛情やおもちゃとしての普遍的な価値は決して消えないという力強いメッセージがある。テック・トリオという「忘れられた過去のテクノロジー」の存在があったからこそ、映画はデジタル社会の現実を描き出しつつも、新旧の存在が共存し合うという深い哲学的な着地を迎えることができた。彼らはまさに、『トイ・ストーリー5』という作品の深みと最高の読後感を決定づける、物語の重要な鍵なのだ。



























