マットを狂気に駆り立てたのは、単なる容姿への執着ではない。主演のトム・リース・ハリーズと共演のナオミ・アッキーはThe AU Reviewの取材に対し、表舞台の仕事には「人から見られたい欲求」と「常に存在を示し続けなければ消されるという強い圧力」が渦巻いていると指摘している。俳優としての存在価値を失う恐怖と焦りが、人間の正気や客観的な判断力を徐々に奪っていく。
居場所を失ったマットが出会ったのは、出資者を失い研究の打ち切りに追い詰められていた科学者ケイトリンだった。二人は互いに「成果への飢え」と「焦り」を抱えており、未承認の遺伝子血清を使った危険な実験へと足を踏み入れる。ワトキンス監督はDC Film Girlの取材において、ケイトリンとマットの関係性について「二人は互いに最善を尽くそうとしているだけだ」と説明している。その上で、単なる悪意ではなく、相手を守ろうとする愛という強力な感情こそが、かえってダークで危険な本能を引き出してしまうのだと二人の悲劇的な関係を説明した。
本作は企画段階において『Clayface: A Tragedy in Three Acts(3幕の悲劇)』という古典劇のようなニュアンスで検討されていた。アッキーとハリーズはTheMovieReport.comの取材に対し、主人公のマットは根っからの悪人ではなく、追い詰められた状況下で「誰もが犯しうる過ち」を重ねた結果として怪人へ変貌していったのだと語っている。